店員「触らないでください」見ていただけなのに→そのあとオーナーがギターを手渡すと店員は顔を上げなかった
家にある3本は、この店で買いました
学生のころにやめたギターを再開してから、私はこの店へ通っています。壁に掛かった楽器は勝手に触らず、気になるものがあれば声をかける。それが私のいつもの見方でした。オーナーと丸椅子を並べて試奏したこともあり、家にある3本はすべてここで買ったものです。
その日、壁には見慣れないギターが1本増えていました。値札を下から見ながら、手は後ろで組んでいました。
「触らないでください」
振り向くと、見覚えのない店員が立っていました。胸には名札があります。私は後ろで組んでいた手を胸の前まで上げ、壁から1歩離れました。触っていないと説明することもできましたが、そのまま小物の棚へ移りました。
レジから何度も向けられた目
小物を手に取って棚へ戻すと、レジの内側から店員がこちらを見ていました。目が合うと伝票へ戻り、しばらくするとまた顔が上がります。同じことが3回続きました。
途中から、私は両手をポケットへ入れて店内を回りました。触らないと分かってもらう方法が、それしか思いつかなかったからです。
店員にとって私は初めて見る客だったのでしょう。それでも、何かを手に取るたびに確認されるのは居心地のいいものではありませんでした。
オーナーが持ってきた丸椅子
奥の扉からオーナーが出てきました。私を見つけると、そのまま売り場を横切ってきます。
「いらっしゃってたんですね!どれか弾きたいのとかあります?」
私が答える前に、オーナーは脚立へ上がり、さっき見ていたギターを壁から外しました。それを私へ渡すと、自分のギターも持ってきて、隣に丸椅子をもう1脚置きます。
弾き始めたところで、オーナーがレジへ向かって言いました。
「この人、うちで何本も買ってくれてる人だよ」
店員は伝票をそろえたまま、こちらへ顔を上げませんでした。私はそのままオーナーとギターを弾きました。
そして...
試奏を終え、オーナーへ「ありがとうございます」と伝えて店を出ました。そのギターが気になり、間もなくもう一度店へ行きました。
今度は壁を見上げる前に、あの店員がレジから出てきました。
「よかったら、出しますよ」
脚立を運び、ギターを下ろしてくれたのも店員でした。私はその1本を購入し、家のスタンドには、この店で買ったギターが4本並んでいます。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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