「ちゃんと収まるか見ておきたい」新居の採寸の日。頭に渦巻く押入れに封印していた秘密
新居を見る前に、自分の押し入れを見ました
彼女とは3年付き合っていて、来月から同じ部屋で暮らします。採寸に行く前、俺は自分の押し入れの戸を開けました。学生のころから集めたフィギュアやディスク、イベントのグッズが詰めてあります。彼女も同じ作品を見ているので、好きなこと自体は伝えてあります。話していないのは箱の数だけでした。これからは彼女の服もバッグも同じ場所へ入ります。自分の箱で共有の収納を埋めるわけにはいきません。
彼女に呼ばれても、目盛りを追っていました
新居では最初に和室へ向かい、上の段を順番に測りました。ベランダから明るいねと声を掛けられましたが、頭にあったのは箱が収まるかどうかです。和室まで来た彼女が不信感を抱いているとは感じていました。
「こっちは全然見ないんだね」
「先に、ちゃんと収まるか見ておきたいんだ」
何が、と聞かれて、荷物、としか答えられません。押し入れが埋まっていると打ち明けたあとの彼女の顔を思うと、その場では続けられませんでした。帰りの電車でも、俺は図面に寸法を書き込んでいます。
とうとう箱を見られました
次の休み、荷造りに来た彼女が、最後まで残していた押し入れを開けます。
「これも新居に持っていくの?」
引っ越せばいずれ分かります。持っていく、とだけ答えて箱を1つ下ろし、ふたを外しました。出てきたのは、彼女とも何度も話した作品のフィギュアです。
「これ、全部そうだったの?」
「好きなのは知られてると思ってた。この量だとは言えなかった」
そして...
「好きなのは知ってたよ。ここまでとは思わなかっただけ」
中をのぞき込んだまま彼女がそう言い、俺はふたに手をのせたまま答えました。
「引かれると思ってた」
彼女のために黙っていたわけではありません。自分が嫌われたくなかっただけでした。全部しまうために測っていたのか、と聞かれて、俺は首を振ります。
「俺のは上の段にまとめるから、下は全部使っていいよ」
上の段にまとめられれば、下は彼女が使えます。最初からそう言えばよかったのに、量を見られることばかり気にしていました。引っ越しの日、箱を上へ押し上げて下を空け、棚へ出したのは1体だけです。彼女が前から名前を挙げていたキャラクターにしました。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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