「コーヒー代、まだだよね?」退勤前に同僚へ聞いた私が、ケチ扱いされた話
ついでに買うだけのつもりでした
同じ部署の彼女とは席が隣で、休憩の時間も重なることが多い間柄です。外に出るついでに、私は「ついでにコーヒー買ってくるけど、いる?」と聞きました。彼女は顔を上げて「じゃあ、カフェラテをお願い」と答えました。店の列は長く、戻るまでに15分ほどかかりましたが、頼まれたのだから当然だと思っていました。紙コップを渡すときに「あとでアプリで送ってね」と伝えると、彼女は「ありがとう、あとで送る」と言って、蓋のところを押さえながら自分の席へ戻っていきました。
通知は入らないままでした
仕事の合間に、私は何度か送金アプリを開きました。受け取りの通知は入っていません。少額のことで催促するほうがみっともないと自分へ言い聞かせて、そのたびに画面を閉じました。それでも彼女が席を立って戻ってくるたび、視線はスマホのほうへ動きます。カフェラテの紙コップは、彼女の机の端で空になったまま置かれていました。飲み終わっているのに送金がないという事実だけが、書類の数字を追う手を何度も止めさせます。退勤の支度を始めた頃には、催促しない理由を探している自分のほうが嫌になっていました。
「それ、ずっと気にしてたの?」
上着を手に取ったところで、私は彼女の席へ寄って「コーヒー代、まだだよね?」と言いました。彼女は画面から目を上げて、「家帰ったら渡すわ。それ、ずっと気にしてたの?」と返しました。近くの席には残業中の人が2人いて、キーボードの音が止まりました。金額を口にしなかったのは、言えば本当に細かい人になってしまう気がしたからです。私は「うん、また明日」とだけ言って、出口へ向かいました。エレベーターの中で数えていたのは、自分が選んだ言葉の弱さのほうでした。
そして...
翌朝、私は自分の分だけを買って戻りました。彼女が「私のは?」と聞いたので、「今日は、自分の分だけにしたの」と答え、続けて「昨日の分、まだだから」と言いました。彼女はスマホを操作して前の日の代金を送ってから、「昨日のって、そんなに嫌だった?」と聞きました。私は「金額じゃなくて。返すって言ったのに、催促した私を細かい人みたいに言ったのが嫌だった」と答えました。「でも、少額だよ?」「少額なら、返さなくていいの?」。彼女は「そういう意味じゃないけど」と言ったきり、あとを続けませんでした。少し間を置いて、「昨日は、ごめん」と言いました。私はうなずいて、自分の席へ戻りました。それ以来、彼女の分をついでに買うことはなくなりました。休憩が重なれば一緒に店へ行き、それぞれ自分の分を払っています。金額が小さいからと言いたいことまで小さくする必要はなかったのだと、今は思っています。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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