「旅行の日、台風来るらしいね」宿のキャンセルばかり気にする友人に、私が聞いたこと
全部任せた旅行と、増えていった台風の話
大学のサークルで知り合って10年になる友人と、久しぶりに2人で泊まりの旅行へ行くことになりました。行き先も宿も選んだのは友人で、私は全部任せると返していました。部屋の写真を送ってきたときの文面は、旅行を楽しみにしている人のものでした。最初に届いたのが「旅行の日、台風来るらしいね」という1通です。心配性なところがある人なので、私は進路の図を見て、まだ遠いよと返しました。次の日には「台風なら、宿だけ1回キャンセルしておいたほうがいいかな」と届き、その次には「キャンセル料っていつからかかるんだっけ」と続きました。
進路がそれても、話は予約を外す方向へ
予報が更新されるたびに、台風は少しずつ東へそれていきました。それでも友人からは「直前に取り直したほうが安全かな」と届きます。私が晴れの予報の画面を送っても、返ってくるのは風のことでした。通知の並びを上からさかのぼると、旅行の話題はどれも同じところへ行き着きます。中止という言葉は一度も出てこないのに、話はいつも予約を外す方向へ寄っていきます。そんなやりとりが5日ほど続いたところで、私は書きかけの返信を消しました。予定を組み直したいと持ちかけると、友人はキャンセル料が発生する前日に会うことをすぐに承知しました。
「もしかして旅行、行きたくない?」
店の外を歩く人は誰も傘を持っていませんでした。駅前のコーヒー店で向かい合って、私は先に聞きました。「もしかして旅行、行きたくない?」友人はカップの持ち手を回してから、「行きたくないわけじゃない」と答えます。私がキャンセル料のことを聞くと、友人はスマホで予約画面を開きました。料金の発生する日付をしばらく見てから、宿の名前のところを指で押さえて、「あの宿、私が決めたやつだから」と言います。そう言ってから、友人は合計金額のところを指しました。「今見ると、ちょっと高くて」やめたかったのは旅行ではなく、予約していた宿のほうだったのだと分かりました。
そして...
「高いって言ってくれたらよかったのに」と私が言うと、友人は「全部任せてもらったのに、自分で選んだ宿を今さら高いって言うのが恥ずかしかった」と答えました。その場で2人で宿を取り直し、旅行は予定どおりに行きました。取り直した宿の控えには、2人分の名前が並んでいます。それ以来、2人で旅行するときは、「全部任せる」で終わらせず、先に予算を決めるようになりました。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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