「今月は残業続きで」と断り続けた彼を、会社近くの店で1人で見つけました
残業が本当だったからこそ
交際して2年、別々に暮らす私たちは、週に1度、平日の仕事帰りか週末に会うのが習慣でした。その月は仕事帰りに誘うことが何度か続きましたが、「今月は残業続きで」と断られました。忙しいなら仕方がないと思って、私は誘う言葉を短くして、最後には日付だけを送るようになりました。彼が嘘をつくとは考えていませんでした。実際、残業しているのは本当だったのです。だから私は、彼の1日には自由に使える時間そのものが残っていないのだと思い込んでいました。
声をかけられなかった窓の前
その店を見つけたのは、取引先からの帰りに彼の会社の前を通ったからでした。コーヒーの店の窓際に、鞄を足元に置いた彼がいます。スマホも見ずに、ただ座っていました。声をかけようとして、足が止まりました。会えないと言われたあとで偶然見つけたことを、その場でどう切り出せばいいのか分からなかったからです。その時間がどれくらいなのかは分かりませんでした。ただ、会えないと言っていた彼が、1人で店に座る時間は持っていた。そのことだけが引っかかりました。
電話で聞かされた40分
家に着いてから電話をかけて、私は最初に「会えないんじゃなかったの?」と聞きました。彼は言い訳をせず、「だいたい40分くらい。ほとんど毎日寄ってる」と答えました。私が「会えないんじゃなくて、私に使う時間がないってこと?」と続けると、彼は「1人になる時間と、誰かに会う時間は同じじゃない」と言いました。疲れきったまま会って、相づちだけで済ませるほうが失礼だと思っていた、とも言いました。彼の理屈は分かります。分かったうえで、私は納得できませんでした。疲れている彼と短く会う選択肢まで、最初からなくされていたからです。
そして...
「30分でも顔を見られたら、それでよかった」。そう言うと、彼はしばらく黙りました。ちゃんと会えないなら会わない、と決めたのは彼でした。短くても会いたいかどうかを、私は一度も聞かれていません。私が欲しかったのは、整った時間ではありませんでした。疲れている日でも、短く会いたいかどうかくらいは、2人で決めたかったと今でも思います。
今は、私の手帳に2種類の印がついています。改札で30分だけ会う日と、彼が1人で帰る日です。埋まらない週もありますが、会うかどうかを彼だけで決めることは、もうなくなりました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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