真上の部屋へ苦情を入れた私が、エレベーターで返した「聞こえません」という嘘
正しいことをしたつもりでした
真上の部屋には、小学生くらいの男の子がいる家族が住んでいます。勤めを辞めてからは、私が家を空ける用事はほとんどありません。彼らが入居して2年目に入ったころから、廊下の端から端まで往復するような音が天井から響くようになりました。
何日か続いたあと、私は管理会社へ連絡しました。担当の方は、真上の部屋へ書面で伝えると言います。受話器を置いたとき、少なくとも自分に落ち度はないと考えていました。
走る音が消えた代わりに
書面が届いたはずのころから、廊下を往復する音は聞こえなくなりました。代わりに始まったのが、天井の1点から聞こえてくる音です。走るのを注意されたから、別の方法で床を鳴らしているのではないか。そう考えた私は、響くたびに回数を数えるようになりました。管理会社へ2度目の電話をかけようと、玄関に貼った連絡先の前まで行ったこともあります。
エレベーターの扉が開いて
その日、1階でエレベーターの扉が開くと、真上の部屋の親子が乗っていました。男の子が「こんにちは」と元気よく声をかけてきます。お母さんは頭を下げ、「いつも、ご迷惑をおかけしています」と続けました。
お母さんが男の子の肩に手を置くと、本人が「毎日100回筋トレやってます」と言いました。その数は、私が天井を見上げながら数えていた回数と近いものでした。
お母さんは「この子、サッカーの選手になりたいそうで」と続けて言います。
「マットは敷いているんですけど、下まで届いていませんか」
そう聞かれ、私は「聞こえません」と答えました。
そして...
部屋へ戻ってから、なぜあんな返事をしたのか考えました。音は確かに届いています。ただ、男の子が100回を目標にしていて、お母さんもマットを敷いていたと知ったことで、数えていた音の見え方が変わりました。子供の夢を応援したいと思ったのです。
玄関に貼っていた管理会社の連絡先は外しました。それでも、また落ち着いて過ごせないほど続くなら、次は「聞こえません」とは言わず、届いている音について素直に話し、平穏に解決したいと思っています。
(60代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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