自分がやった日にだけ知らせていた俺へ、妻は1日ぶんを1件ずつ送ってきました
終えるたびに送っていた文
共働きで、妻が先に出る日は洗濯物とごみを俺が受け持ちます。終えるたび、俺はメッセージを送っていました。
「ごみ捨てしといたよ」
返ってくるのは「ありがとう、助かる」のメッセージで、それで足りていると思っていました。家の中でやったことは、言わなければ残りません。送っておけば、俺がこの家に出したものが1つずつ形になる気がしていたのです。
ある日は、そこに書き足しました。
「洗濯も干しといたよ。今日はプレゼンなのに大変だった」
あの一言は、ねぎらいをねだる文でした。引き受けたぶんを返してほしくて、頼まれてもいない書き足しをしていたのです。
並んでいった同じ形の文
届いた文の言い方には、覚えがありました。
「弁当を2つ詰めといたよ」
「シャツにアイロンをかけといたよ」
「風呂を洗っといたよ」
俺が使ってきた形が、そのまま返ってきています。数えると17件ありました。
上へさかのぼると、俺が送った文は、俺がやった日のものしかありません。その日まで、妻から同じ形の文が届いたことはありませんでした。妻が何もしていなかったのではなく、知らせずに済ませていたことを、俺が数えたことがなかっただけです。
最後の1件には、見覚えのある書き足しがついていました。
「明日の分の米をといでおいたよ。今日は私も打ち合わせが続いたけど」
打っては消した返事
「ごめん」と打って、消しました。それを何度か繰り返しました。
謝れば、送り続けてきた俺の文が、ねぎらってほしいというお願いだったと認めることになります。認めるのが嫌で、返事を先へ延ばしました。乗るはずの1本を見送って、ホームのベンチで画面をつけたままにしていました。
拒まれるのが怖かったのだと思います。数えていないのは妻のほうだと思っていましたが、数えられていなかったのは妻の1日でした。
送ったのは、短い1行です。
「ごめん。数えたことがなかった」
そして...
帰ってから、家ですることを書き出しました。名前のつかない用まで入れると、俺が送ってきた報告は、その一部にしかなりませんでした。
その紙は妻には見せていません。今は、やるとも、やったとも書かずに済ませています。ごみ袋は妻が出る前に外へ出し、乾いた洗濯物はたたんでおきます。妻が何も言わずに済ませてきたことは、俺が思っていたよりずっと多くありました。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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