封を切らない箱を積んだまま、俺は次に出ていく話をしていません
俺の暮らしは、押し入れの中に収まっていた
彼女と付き合って1年になります。仕事の都合で数年ごとに住む場所が変わり、この部屋は2年目でした。
畳に出しているのは寝具と鍋が1つだけです。食器も座卓も座布団も、押し入れの下の段にしまってあります。彼女から着いたと連絡が来ると、俺は「あと少しだけ待って」と返し、そこから2人分を取り出しました。待ってもらう数分は、そのための時間です。なぜ普段は出さないのかを、俺は一度も話していませんでした。
半分だけ開けた戸の向こうで、俺は言葉を選び間違えた
その日の呼び鈴は、連絡より先でした。取り出せていたのは座布団が1枚。歯ブラシ立ても1本のままです。
「先に出しておきたかっただけなんだ」
出しておきたかった理由まで続けて言えばよかったのに、俺はそこで口をとじました。彼女の目が畳の上を行き来しているのは分かりました。
「本当に1人で住んでるの?」
責められたとは思いませんでした。2年住んだ部屋について、俺が彼女に一度も説明していなかっただけです。
封を切らないと決めたのは、最初に移った年
上の段の戸を引くには、彼女に少し下がってもらう必要がありました。
「開けたら、次に出るときに困るから」
最初の移動のとき、引っ越しの際に運べる荷物の量には限りがあって、俺は並べていたものの半分を置いていきました。何を残すかを選んだのは自分です。あの選び方をもう一度するくらいなら、はじめから出さないほうがいい。そう決めてからは、箱の側面の住所を消しては書き足すだけになりました。移った回数と、書き足した回数は同じです。
「次に出るときって、いつ?」
「まだ決まってない」
これは事実です。ただ、決まれば出ていくつもりでいることを、俺は彼女に伝えていませんでした。
そして...
「この箱、開けてみてもいい?」と彼女に聞かれて、俺は列の上から1つ下ろし、テープの端を起こしました。あの椀は移る前に買って、どの部屋でも棚に置かずにきたものです。今は上から順に封を切っています。次に出ていく話のほうは、まだしていません。
(30代男性・設備保守)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
関連記事
「コラム」カテゴリーの最新記事
-
インフルの妻子を放置し外食を楽しんだ夫!?数日後⇒病院で「ご…ごめん…」夫の顔から血の気が引いたワケ愛カツ -
【星座別】9月、ツキを味方につける女性ランキング<第1位~第3位>ハウコレ -
【星座別】2026年9月後半、隠れモテ女ランキング<第1位〜第3位>ハウコレ -
【星座別】2026年9月後半、鬼モテ女性ランキング<第1位〜第3位>ハウコレ -
友達止まりの人と恋人になれる人、触れ方がまるで違いますハウコレ -
「本当に1人で住んでるの?」生活感のない部屋を問い詰めた私に、彼は押し入れを開けましたハウコレ -
夫が“家事も稼ぎも”丸投げ…過労で倒れた妻!?病室で目を覚ますと⇒「なんで…っ」思わず飛び起きたワケ愛カツ -
女「あなたの夫は奪った♡潔く別れて!」しかし私「夫はいませんが…?」⇒玄関を開け、震えが止まらなくなったワケ愛カツ -
【星座別】9月、ツキを味方につける女性ランキング<最下位~第10位>ハウコレ