親友の恋人を褒めない私が、彼女の報告を聞くたび比べていたもの
「まあ、悪い人ではなさそうだね」と返した日
彼女は大学のころから、私の後をついてくる側でした。服も店も、恋愛の話も、新しいものを先に持ち込むのはいつも私でした。その並び順が心地よかったのです。だから交際の報告を受けた日、嬉しそうな彼女を前に、順番を抜かされたような感覚がありました。口から出たのは「まあ、悪い人ではなさそうだね」。褒め言葉は、意識して外しました。褒めたら、彼女が私より先を歩いていると認めることになる気がしたからです。
3人で会った日の帰り道
3人で食事をした日、彼は私の好き嫌いまで把握していて、料理を取り分け、話題を振ってくれました。良い人でした。だからこそ、褒めたくありませんでした。彼を認めるほど、彼女が自分より先へ進んだことまで認める気がしたからです。帰り道は「お店、良かった」とだけ言って、彼の話題を避けました。家に帰ってからも彼女の投稿を開いては、自分の毎日と見比べました。友達の恋人を褒めることは負けを認めること。いつからか、そんな自分だけのルールで、一番近い友達を採点していたのです。
「一度も褒めてくれないの、なんで?」
写真をスクロールする私に、彼女はまっすぐ聞いてきました。「一度も褒めてくれないの、なんで?」ごまかす言葉を探して、見つかりませんでした。カップを置いて、しばらく黙ってから、私は「褒めたら、取られた気がするから」と答えました。嘘ではありません。ただ、取られたくなかったのは彼女ではなく、彼女より前にいる自分の場所でした。そして次の一言は、隠すつもりだったのに、こぼれました。「あんたが先に、幸せになるのはずるいでしょ」。彼女の顔を見て、私はすぐ「冗談だよ」と笑って話題を変えました。彼女は最後まで笑いませんでした。
そして...
後日、私は「この前のは冗談だからね」とメッセージを送りました。返ってきたのは「気にしてないよ」の一言だけでした。それ以来、彼女は私に彼の話をしなくなりました。会えば以前と同じように笑ってくれます。謝る言葉は、今も送れていません。彼女の投稿を開けば、誰と会ったか、どこへ行ったかを見て、自分の毎日と比べてしまいます。報告先から外された理由は分かっているのに、その順番を数える癖だけは、まだ残っています。
(20代女性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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