お土産を待っていた私に後輩が見せた、分厚い引き継ぎ資料
私が教わってきた礼儀
隣の席の後輩が4日間の連休を取った間、彼女宛ての問い合わせは私が受けていました。自分の仕事の合間に受話器を取り、内容を書き留めて机に挟む。その繰り返しでした。私が新人だった頃の職場では、休みをもらった人が明けにお菓子を配るのが当たり前で、それはカバーしてくれた人へのお礼だと教わってきました。だから休み明けの給湯室で、手ぶらでお礼だけを言いに来た彼女に、私は言いました。「休んだんだから、お土産くらい買うでしょ」。どこにも行っていないと聞いても引っ込みがつかなくて、私は湯のみを持ったまま席へ戻りました。
言えなかった本音
席に戻ってからも、自分の言い方が引っかかっていました。求めていたのは、自分が代わった分を、何か目に見える形で労ってほしい、という気持ちでした。それでも「お礼をしてほしい」と正面から言うのが気恥ずかしくて、お土産という分かりやすい形に押し込めたのだと思います。それでも私は、自分が教わってきた礼儀のほうを疑えずにいました。
翌月、渡されなかったもの
翌月、彼女はまた連休を申請しました。申請を出した日、彼女は私の席まで来て言いました。「代わっていただいた分は、仕事でお返しします」。差し出されたのは、担当先ごとの対応手順と返答例をまとめた分厚い資料でした。数枚めくって、私は返しました。「そういうことじゃないんだけど」。口にした瞬間、では何のことなのかを、自分でもうまく説明できませんでした。彼女が休みの間、私が受けた電話は1件だけでした。
そして...
休み明けの彼女は私の席に来て、「対応いただいた1件、ありがとうございました。続きは私が引き取ります」と言いました。机の上にお土産はありませんでした。その後、自分の連休明けに、私は「連休いただいたので」と課内へ菓子折りを配りました。彼女も1つ受け取って、お礼を言ってくれました。今も、自分の連休明けにはお菓子を配っています。でも、それを誰かに求めることはなくなりました。次に誰かが休むときは、お土産の話ではなく、引き継ぎの確認から始めています。
(30代女性・営業事務)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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