「もう自分で切って」妻の一言で、夫がスイカの前で始めたこと
食べたいのは夫なのに
スイカは、夫がスーパーで見つけて買ったものです。それなのに、帰宅後は袋から出さず、野菜室へ入れるところまで私に任せました。
数日後、洗い物をしている私へ、ソファから声をかけてきました。
「今、冷蔵庫にスイカあるよね?もう冷えてるかな?」
夫は昔から、果物を自分で切ろうとしません。りんごや梨も、食べたいとは言わず、「そろそろ食べ頃かな」「まだ残ってるよね」と聞きます。私もそのたびに切ってきたため、それが2人の間で当たり前になっていました。
「もう自分で切って」
蛇口を止めて夫の方を見ると、テレビを見たまま、私の返事を待っていました。
「そうやって、いつも私に切らせようとしてくるよね。もう自分で切って」
夫は私を見て、「別にそんなつもりじゃ」と言いましたが、その先は続きませんでした。私は説明を重ねず、手を拭いてソファへ座りました。
これまで私が切ってきたことにも、不満を伝えずに応じてきたことにも、夫は気づいていなかったのかもしれません。
まな板の前で始まった独り言
しばらくすると、夫は台所へ向かいました。野菜室を開ける音のあと、スイカを包んだ袋がこすれる音が聞こえます。
まな板へ載せた夫は、「これ、どこから切ればいいの」と聞いてきました。
「好きなところからでいいよ」
そう返すと、夫は包丁を入れる位置を変えながら、スマホで切り方を調べ始めました。「皮が硬い」「まな板からはみ出す」と独り言を続けています。切り口は曲がり、大きさもそろっていませんでしたが、私は手を出しませんでした。
そして...
皿に山盛りになったスイカを、2人で食べました。
「切るのって、結構大変なんだな」
「私は毎回やってるよ」
夫は切り分けたスイカを見ながら、そのまま食べ続けていました。
次の週末、夫は買ってきた梨を、自分から台所へ持っていきました。皮はところどころ残り、厚さもばらばらでしたが、自分で皿に並べています。
果物を切る人が最初から私に決まっていた食卓は、あのスイカを境に少し変わり始めました。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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