「ごめん、仕事の電話」旅行中に何度も席を立った僕が、彼女に隠していたこと
お菓子を楽しみにしていた彼女
旅行の予約を任されたとき、僕は隣り合った2席を選びました。窓側を彼女に、通路側を自分にしました。彼女が景色を見やすいほうがいいと思ったからです。
彼女は出発前から、車内で食べるお菓子をいくつも買っていました。「一緒に食べようね」と言われて、僕も楽しみにしていました。
ただ、1つ言えないことがありました。僕は乗り物酔いしやすいのです。せっかくの旅行で心配をかけたくなくて、当日はどうにかなると考えていました。
電話のふりをした理由
列車が走り始めてしばらくすると、やはり酔いが出てきました。隣では、彼女がお菓子の袋を開けようとしていました。
そのまま隣に座っている自信がなくなり、僕はスマホを手に取りました。「ごめん、仕事の電話」と言って、デッキへ出ました。仕事なら彼女も深く聞かないと思ったのです。
席に戻っても、また酔いが戻ってきます。そのたびに同じ理由で席を立ちました。彼女の膝の上のお菓子は、ずっと開かれないままでした。僕は心配をかけたくないと言いながら、彼女を何度も1人にしていました。
ホームで打ち明けたこと
目的地に着いてホームへ降りても、僕はすぐに話せませんでした。彼女が「仕事、大丈夫なの?」と聞いたことで、もう隠せないと思いました。
「電話は嘘だった。本当は乗り物酔いしてた」と伝えました。つらそうなところを見せたくなかったこと、何度も嘘を重ねて席を立ったことも話しました。
口にしてみると、隠していた理由がひどく幼く聞こえました。彼女に嫌われたくなかったのではなく、かっこ悪い自分を見せたくなかっただけでした。
そして...
彼女は責めませんでした。ただ、「お菓子、一緒に食べたかったな」と言いました。その言葉で、僕が守っていたのは彼女との時間ではなく、自分の見栄だったのだと分かりました。
乗り物酔いを隠すために席を立ったことで、彼女は旅行の始まりを1人で過ごすことになりました。心配をかけたくないという理由は、説明を省いていい理由にはなりません。
帰りの列車では、つらくなったら先に言うつもりです。「少しデッキで休む」と伝えれば、彼女を置き去りにしたままにはならないはずです。袋に残ったお菓子は、そのとき2人で開けようと思います。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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