「どうして私の駅ばかり選ぶの?」彼女に聞かれて正直に答えた俺が、奪っていたものの正体
損しない部屋探しのつもりだった
彼女と同棲しようという話になったとき、先に考えたのは家賃のことでした。2人で暮らすなら、毎月の負担をどうするかは避けられません。だから俺は、できるだけ無理のない形を探しているつもりでした。
彼女の会社には、職場の近くに住むと家賃補助が増える制度がありました。彼女から何気なく聞いたその話を、俺はすぐに物件選びの条件に入れました。
彼女の職場近くに住めば補助が増える。彼女の負担を少し多めにできれば、俺の負担も下がる。自分の通勤時間が伸びることも含めて、収支としては悪くない。そう考えて、俺は彼女の駅に近い物件ばかりを選んでいました。
冷めていくコーヒー
内見の帰り、カフェで彼女が聞いてきました。「どうして自分の職場は遠いのに、私の駅ばかり選んでくれるの?」
俺は隠すことでもないと思い、そのまま答えました。彼女の家賃補助を使えば、家賃の負担を調整できる。俺の通勤は少し遠くなるけれど、そのぶん金額面では助かる、と。
言った瞬間は、悪いことを言ったつもりがありませんでした。現実的に考えた結果を説明しているだけのつもりでした。でも彼女は、そのあと会話を短く切りました。カップに手をつけない彼女を見て、俺は自分の言い方がまずかったのだと気づきました。
彼女の気持ちを置き去りにしていた
それから2日ほど、彼女との会話は少しだけ短くなりました。責められたわけではありません。でも、いつものような軽さがなくなっていました。
彼女が話してくれたのは、「家賃を多く出すのが嫌なんじゃない」ということでした。彼女自身も、そのつもりでいた。でも、それを彼女が言う前に、俺が先に当然のように口にしたことが嫌だったのだと。
聞きながら、俺はやっと分かりました。彼女の補助も、彼女の収入も、本来は彼女がどう使うかを決めるものです。それを俺は、2人のためという顔をしながら、自分の計算の中に勝手に入れていました。節約の話ではなく、彼女が差し出すはずだったものを、先に取ってしまった話だったのです。
そして...
彼女には、「順番を間違えた」と伝えました。本当は、それだけでは足りなかったのかもしれません。けれどその場で長く言い訳をすれば、また自分の都合を並べるだけになる気がしました。
今は、彼女の職場にも俺の職場にも偏りすぎない場所で、もう1度物件を探しています。家賃の分け方については、俺から先に決めつけないようにしています。
同棲は、効率よく暮らすためだけのものではないのだと思います。相手が何を差し出してくれるかより先に、相手がそれをどう思っているのかを聞ける人でいないと、同じ部屋に住む前から大事なものを減らしてしまうのだと、今さら気づきました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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