私の香水だけが玄関に移されていた。彼の本心がわからなくなった日
2026.06.25 13:00
提供:ハウコレ
玄関に移された、私の香り
靴箱の上の小瓶は、置き場所が変わっても、見慣れた丸い形のままでした。ドレッサーの天板には、瓶が置かれていた丸い跡だけが残っていました。
このところ彼の口数が減っていたことと、その瓶が私の中で結びつきます。私の匂いを、彼は暮らしの場から遠ざけたかったのではないか。そんな想像だけが、勝手に膨らんでいきました。理由を聞けばいいとわかっていながら、私は瓶を元へ戻さないまま、寝室のドアを閉めました。
聞けないまま、悪いほうへ傾いていく
それから私は、彼の様子を伺うようになりました。帰宅するとまず玄関で何かをしているらしいこと、出かけるときにコートの襟元を気にしていることに気づきます。
けれど、その一つひとつを、私は都合の悪いほうに考えてしまいました。新しい相手の気配を消しているのだ、と。問いただせば済む話を、ずっと先延ばしにしていました。
彼のコートから漂った、覚えのある匂い
ある休日、彼が出かけたあとに、椅子へかけたままのコートをハンガーへ移しました。襟元に顔が近づいた拍子に、私自身がよく知っている甘い香りがしました。私の香水の匂いでした。戻ってきた彼に、玄関の瓶のことをようやく口にできました。彼は決まり悪そうに笑って、こう言いました。
「家を出る前に、これを少しだけつけてたんだ。言うの、恥ずかしくて」
そして...
距離を取られていたのだと勘違いしていた私は、ずいぶん遠回りをしていたようです。瓶はあの場所へ戻さず、玄関に置いたままにしています。彼が持って出やすいように。聞いてみればよかっただけのことを、これからは先に口にしようと思います。
(20代女性・会社員)
本人記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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