家計アプリで私の支出だけ「その他」に分類していた彼。理由を聞けずにいた話
並んだ項目と、ひとくくりの私
彼の家計アプリでは、細かく項目が分かれていました。食費、光熱費、通信費。彼が買った本やゲームにまで、ちゃんと名前のついた欄があります。
けれど私が出したお金は、スーパーで買った食材も、選んだタオルも、まとめて「その他」のひとことで片づけられていました。
同棲を始めて半年、二人で暮らしを作ってきたつもりでした。それなのに、この画面のなかでだけ、私はどこにも居場所がないように見えたのです。
数えられていない、という心細さ
画面を閉じても、「その他」という分類が頭から離れませんでした。彼の支出はきちんと数えられているのに、私の支出だけがどこにも振り分けられていない。それはまるで、私という存在が、この家計の枠の外に置かれているようでした。
お金の管理の話だと分かってはいても、受け取ってしまうのは別の意味です。私はまだ、彼にとって一緒に暮らす相手になりきれていないのかもしれない。そう思いながら、その画面を何度も開いては閉じていました。
そっと差し出した、画面ひとつ
思い切って、食事のときに画面を見せました。
「私の支出だけ、その他なんだね」
できるだけ軽く言ったつもりでしたが、声は少し沈んでいたと思います。彼はしばらく画面を見つめてから、「……気づいてたんだ」とつぶやきました。そして「君の使い方に、いちいち口を出したくなかったんだ」と続けたのです。その言葉に嘘はなさそうでした。
けれど、なぜそれを今まで一度も言ってくれなかったのか、なぜ二人で決めなかったのか。聞きたいことは、まだ残ったままでした。
そして...
その日のうちに、私たちは家計アプリを一緒に作り直しました。私のぶんにも項目を作ってほしいと伝えると、彼は素直にうなずいてくれました。
一緒に画面を直しながら、彼は自分の家のことを少しだけ話してくれました。多くは語りませんでしたが、その横顔から、あの分類が拒絶ではなかったことが伝わってきたのです。画面のなかに、私の名前のついた欄が並びました。「その他」だった私の居場所が、ようやくこの暮らしの一部になった気がしています。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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