友人に彼女を自慢したかっただけなのに。僕が選んだ話題が、彼女を黙らせてしまった
友人たちのパートナー自慢に、焦っていた
集まったのは、学生時代からの気心の知れた友人たちでした。それぞれがパートナーを連れてきていて、自然と相手の話で盛り上がっていきます。友人の一人が「うちのは最近、資格取ってさ。ほんと尊敬するわ」と話すのを聞きながら、僕は内心で焦っていました。彼女のことは誰より大切に思っています。でも、まじめに尊敬していると口にするのは照れくさくて、どう紹介すればいいのか分からなくなっていました。気の利いたことを言える性格でもありません。順番が回ってくるのが、正直少し怖かったのです。
とっさに選んだのが、彼女の失敗談だった
視線がこちらに集まったとき、僕の口から出たのは、彼女が駅を間違えて新幹線に乗り遅れた話でした。「こいつ、この前さ、待ち合わせの駅を間違えてさ」。本当は、そのあと二人で予定を変えて、思いがけず楽しい時間になった話までするつもりでした。
僕の実家では、からかい合うことが親しさの証のようなものでした。だから失敗談を笑いに変えるのは、距離が近い相手にしかできないことだと、どこかで思い込んでいたのです。彼女が「その話、今しなくていいよ」と遮ったとき、ようやく何かがおかしいと気づきました。
帰り道、彼女が口にした一言
集まりのあいだ、彼女の口数が減っていくのが分かりました。二人になった帰り道、僕は耐えきれずに尋ねました。「ごめん、なんか怒ってる?」。彼女は少し迷ってから、こう言いました。「あの話、私が恥ずかしいって知ってて話したよね」。その通りでした。彼女が嫌がるかもしれないと、頭の片隅では分かっていたはずなのに、僕はその場の雰囲気を優先してしまったのです。「ごめん。みんなに自慢したかったのに、うまく言えなくて」。言いながら、言い訳めいて聞こえるなと自分でも思いました。
そして…
自慢したかった、というのは本当の気持ちです。でも、うまく言葉にできない照れくささを、彼女をからかうことでごまかしたのだとしたら、それは結局、自分の居心地を優先しただけだったのかもしれません。彼女を下げて笑いを取るくらいなら、たどたどしくても自慢の彼女なんだと言えばよかった。次に友人たちと会うときは、不器用でも、彼女のいいところをちゃんと自分の言葉で話そうと思います。彼女がくれたあの一言を、僕はきっとこの先も忘れないはずです。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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