彼女へのメッセージに、妹の名前を残してしまった僕。説明を後回しにしていた本当の理由
余裕をなくしていた毎日
妹が一人暮らしを始めることになり、僕は休みのたびに新居へ通っていました。家具の組み立てや荷物の片づけで、手も頭もいっぱいです。気がつけば、恋人への連絡はいつも後回しになっていました。 それでも返事をしないわけにはいかず、僕は作業の合間に音声でメッセージを送るようになっていました。短くても、送りさえすれば伝わるだろう。そんな軽い気持ちでいたのです。 あの日も、片づけの途中で「今度の休みも会えそうにない。ごめん。また連絡するね、ゆき」と吹き込んで、ろくに聞き直さずに送信しました。妹に呼ばれて返事をしながら録音したせいで、最後に名前が紛れ込んでいたことに、僕はまったく気づいていませんでした。
そっけない返信の理由
それからしばらく、彼女からの返信はスタンプだけになりました。いつもならひとことふたこと添えてくれるのに、その日を境に、やりとりがどこかよそよそしくなったのです。 正直なところ、僕はあまり深く考えていませんでした。彼女も仕事で疲れているのだろう、くらいに思っていたのです。妹の手伝いのことを話せば長くなるし、わざわざ言うほどのことでもない。そう決めつけて、僕は事情を何も伝えていませんでした。 今思えば、その「言わなくてもいい」という油断こそが、彼女を遠ざけていたのだと思います。
電話越しの問いかけ
数日後、ひさしぶりに彼女と電話がつながりました。少し探るような声で、彼女はこう切り出しました。「ゆきって、誰?」。 何のことだろうと考えて、ようやく思い当たりました。あのメッセージの最後に、妹の名前が残っていたのだと。僕はあわてて答えました。「妹だよ。引っ越しの片づけ、手伝ってたんだ」。 受話器の向こうで、彼女の声がふっとやわらぐのがわかりました。それと同時に、彼女がずっと一人で悩んでいたことにも気づいたのです。たった一つの名前で、こんなに不安にさせていたなんて。僕は「言えばよかった。心配かけてごめん」と頭を下げました。
そして...
電話を切ったあと、僕はしばらく考え込んでいました。彼女を不安にさせたのは、紛れ込んだ名前そのものではありません。忙しさを理由に、何も話そうとしなかった僕の態度です。 短く済ませることばかりを考えて、彼女に自分の毎日を伝える手間を惜しんでいました。きっと彼女は、置いていかれたような気持ちでいたのだと思います。 次に会ったら、妹の引っ越しのことも、ばたばたしていた毎日のことも、ちゃんと話そうと決めました。音声メッセージの短い一言より、たとえ不格好でも、自分の言葉で伝えることのほうが、ずっと大切なのだとようやくわかった気がします。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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