「私の名前は、いらないってこと?」二人で決めたはずの表札から、私の名前だけが消えていた話
二人で選んだ表札
彼との同棲を決めて、新しい家を借りることになりました。間取りを選び、家具を一緒に見て回る時間は、これからの暮らしを思い描くようで、毎日が本当に楽しかったのを覚えています。中でも私が楽しみにしていたのが、玄関の表札でした。
何種類ものデザインを二人で見比べて、木のぬくもりが感じられる一枚に決めたのです。私は当たり前のように言いました。「二人の名前を並べた表札にしようね」。彼も笑って「うん、そうしよう」と答えてくれました。その言葉を、私は少しも疑っていませんでした。
完成した表札を見て
それから何日かして、注文していた表札ができあがりました。私はわくわくしながら箱を開けたのですが、刻まれていたのは彼の名前だけでした。並んでいるはずの私の名前は、どこにもありません。何かの手違いかもしれない。そう思って、私は彼に確かめました。「これ、あなたの名前しかないよね。私の名前は?」。すると彼は、目を合わせないまま「今はこれでいいから」と答えたのです。私は思わず聞き返しました。「私の名前は、いらないってこと?」。彼は「そうじゃない。もう少しだけ待ってほしいんだ」と言うだけで、それ以上は何も教えてくれませんでした。
居場所のない家
それから私は、表札のことを口にできなくなりました。また「待ってほしい」とかわされる気がして、こわかったのです。名前を並べるのが、そんなにためらわれることなのだろうか。彼にとってこの家は、本当に二人の家ではないのかもしれない。私だけが浮かれて、二人の将来を思い描いていたのではないか。そんな想像ばかりが頭をめぐりました。玄関に立つたび、彼の名前だけの表札が、まるで私はここにいなくていいと言われているように思えて、新生活への楽しみが少しずつ色を失っていったのです。
そして...
このまま黙っていても、気持ちはすれ違うばかりだと思いました。だから私は、もう一度きちんと彼に向き合おうと決めたのです。私がどれだけこの新生活を楽しみにしていたか、どれだけ寂しかったかを、正直に伝えてみよう。答えを勝手に決めつけて落ち込むより、本当の気持ちを聞くほうがずっといい。表札に名前がないことより、その理由を分かち合えないことのほうが、私にはつらかったのですから。彼が「待ってほしい」と言ったその先に何があるのか、今度は逃げずに聞いてみようと思います。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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