彼が送ってきた曲のタイトルが、私の口癖『なんとかなるよ』と同じだった話
一行だけ届いたリンク
久しぶりに予定のない日のことでした。ソファでくつろぎながらスマホを開くと、彼から届いていたのは曲のリンクが一本だけ。何かひとこと添えられているわけでもなく、リンクだけがぽつんと表示されていました。
タイトルを見て、思わず画面を二度見しました。そこにあったのは『なんとかなるよ』という曲名です。それは、私が困ったときや落ち込んだときに、つい口にしてしまう言葉でした。
彼にこの口癖の話をした覚えはありません。どうして彼が、わざわざこの言葉を選んだのだろう。そう思うと、すぐにはリンクを開けませんでした。
読み取れない意味
思い返せば、ここしばらく彼からの返信は短いものばかりでした。誘っても「今度ね」、近況を送っても「了解」のひとこと。会話が続かない日が増え、私は私で、距離を感じはじめていました。
そんな彼から届いた、言葉のないリンク。私の口癖と同じ曲名。これは何かのメッセージなのだろうか。「なんとかなるよ」という言葉を、彼はどんな気持ちで選んだのだろう。もしかして、もう私たちは終わりで、それでもなんとかなる、と伝えたいのだろうか。
返信を打っては消し、また打っては消し。短い曲の名前の向こうにある彼の本心を、私は探し続けていました。
短い答え
迷った末に、私は「どうしたの、この曲?」とだけ送りました。すぐに読んでくれたようなのに、返信が来るまでには時間がかかりました。
やっと届いたのは「聴いてほしくて」というひとことだけ。それ以上の説明はありません。怒っているわけでも、責めているわけでもなさそうです。
けれど、なぜこの曲なのか、なぜ私の口癖と同じ名前なのか、肝心なところは何も分かりませんでした。短い返事を見つめながら、私はかえって落ち着かない気持ちになっていきました。
そして…
私はその曲をきちんと再生してみました。流れてきたのは、気持ちがほどけるような、優しいメロディーでした。歌詞は、うまくいかない日々をそれでも歩いていこう、と語りかけるような内容でした。
聴き終えて気づいたのは、私が彼の何もかもを、悪いほうに読み取ろうとしていたということです。だから私は、勝手に意味を探すのをやめて、思いきって電話をかけました。
「あの曲、どうして送ってくれたの?」と。彼は少し言いよどんでから、「あの曲、君みたいだと思って送ったんだ」と打ち明けてくれました。私が落ち込んだときに口にする「なんとかなるよ」に、ずっと救われていたのだと。リンクだけだったのは、照れくさくて言葉にできなかったからなのだと、ぽつぽつ話してくれました。
「ちゃんと言葉で聞けて、うれしい」
そう返したとき、短いリンクの向こうでこわばっていた気持ちが、すっとほどけていきました。読み解こうとするより、聞いてしまえばよかったのです。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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