デート候補から毎回一軒だけ消していた僕。「悪いことじゃないから」と濁した本当のわけ
送っては消す一軒
彼女と付き合って二年目になります。出かける予定を決めるとき、お店の候補を写真つきで何軒か送るのが、僕のいつものやり方でした。
ただ、その中に一軒だけ、送ってはすぐ取り消すお店があったのです。予約の取りにくい、少しあらたまったレストランでした。候補を並べていると、つい、そのお店も入れてしまう。けれど送信した直後に、やっぱり違う、と取り消す。それを毎回、繰り返していました。彼女に見えているのは、一軒が取り消されたという痕跡だけのはずだと、その時の僕は思い込んでいたのです。
取っておきたかった理由
そのレストランは、付き合って二年の記念日に、彼女を連れて行きたいと決めていた場所でした。なかなか予約が取れず、僕は少しずつ計画を進めているところだったのです。
だから、ふだんの何でもない外出で使ってしまいたくはありませんでした。特別な日のために取っておきたい。その一心で、候補に入れては消していたのです。正直に言えば、もうひとつ理由がありました。気軽にそういう店へ誘えるほど余裕があるわけではなく、毎回ためらってしまう自分が、少し恥ずかしかったのです。
気づいていなかったこと
出かけた帰り道、彼女が思い切ったように切り出しました。「ねえ、いつも一軒だけお店消してるよね。何かあるの?」
その言葉で、ようやく気づきました。取り消された跡を、彼女はずっと見ていたのだと。そして、見えない一軒の正体を、ひとりで思い悩ませていたのだと。サプライズを完璧にすることばかり考えて、彼女を不安にさせていたことに、まるで気づいていませんでした。とっさにうまく説明できず、僕は目線を落としてこう返すのが精一杯でした。「ごめん、もう少しだけ待ってほしい。悪いことじゃないから」。
そして...
記念日の計画は、もう少しだけ内緒にしておくつもりです。それでも、彼女をあんなふうに思い悩ませてしまったことは、ちゃんと心に留めておこうと思いました。
特別な一日を用意することばかりに気を取られて、いちばん大切にしたいはずの相手の気持ちを、後回しにしていたのかもしれません。隠しておくことと、不安にさせることは違う。当たり前のことに、彼女のひとことでようやく気づけました。お店の名前を打ち明けるのは、もう少し先になります。その代わり、待っていてくれる彼女に、これからは小さな安心をひとつずつ手渡していこうと決めたのです。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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