待ち合わせの地図と一緒に、彼女に送るはずのなかったメッセージを送ってしまった、あの日の俺
彼女に隠していた、この数週間
彼女と付き合って、もうすぐ二年になります。二年目の記念に、ささやかなお祝いをしたい。そう思って、俺は彼女の友人にこっそり協力をお願いしていました。
ケーキと花を用意して、待ち合わせのカフェで先に準備しておいてもらう。たったそれだけの計画に、俺は柄にもなく気を張っていたのだと思います。
そのせいで、この数週間は彼女の前でもメッセージアプリの画面ばかり気にしていました。準備の連絡を見られないように、画面を伏せることも増えていったのです。数日前には、「最近、何かあった?」と聞かれました。本当のことは言えず、「ううん、ちょっと仕事が立て込んでて」とごまかしてしまいました。
二つのメッセージを、取り違えた瞬間
当日、俺は二つのやりとりを並行して進めていました。彼女には待ち合わせ場所の地図を。友人には、準備の段取りを。
焦っていたのだと思います。友人に送るつもりだったメッセージを、俺は彼女のほうに送ってしまいました。「先に着いてて。バレないようにお願い」。送った直後は、自分の間違いに気づいてもいませんでした。地図とまとめて送れた、くらいの感覚でいたのです。
おかしいと思ったのは、彼女からの返信がいつまでも来なかったからでした。送信履歴をさかのぼって、俺はようやく自分のしでかしたことを理解しました。
カフェの窓越しに見た、彼女の顔
すぐに訂正の連絡を入れようとして、やめました。下手に取り繕えば、かえって怪しく見える。そう考えているうちに、約束の場所に彼女が着いてしまいました。
窓の外に立つ彼女は、こちらをじっと見つめたまま、なかなか中に入ってきません。その表情で、彼女がどれだけ思い詰めているのかが伝わってきました。俺は店を出て、彼女のもとへ駆け寄りました。「ごめん、それ、友達に送るはずだったメッセージなんだ」。あとから出てきた友人も、頭を下げてくれました。彼女はテーブルのケーキを見て、ようやく事情を飲み込んだようでした。
そして...
席に着いてから、彼女がぽつりと言いました。「てっきり、ほかの誰かと会うんだと思った」。
その言葉に、俺は返事のかわりに深く頭を下げました。サプライズの準備に夢中で、彼女を不安にさせていたことに、ようやく気づいたのです。驚かせることばかり考えて、毎日の彼女の気持ちを置き去りにしていました。サプライズさえ成功すれば全部うまくいく。そんな俺の考えは、ずいぶん身勝手でした。
「これからはちゃんと言葉にするよ」。彼女と並んでケーキのろうそくに火をつけながら、俺はそう約束しました。次は段取りより先に、ちゃんと彼女と向き合おうと思います。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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