彼女に「お前みたいに疲れないんだよ」と言った俺→2年信じたゲーム相手の正体に天国から地獄
あいつは、俺の趣味を笑わなかった
ゲームの腕は俺より上で、それでいて俺のくだらない話を、いちばん大きな声で笑ってくれる。彼女みたいに、いつまでやってるのと呆れることもありません。仕事で削られた気力が、通話をつないだ途端に戻ってくる気がしていました。会ったことのない相手のはずなのに、現実で隣にいる人より、その子といるほうが俺には楽でした。否定されない居場所が、画面の中にだけあったのです。
「お前みたいに疲れないんだよ」と、俺は言った
会ったこともない相手に夢中になる理由を、彼女に聞かれたことがあります。俺は画面を指したまま、考えもせずに言いました。「お前みたいに疲れないんだよ」。
やきもちを焼く彼女のほうが面倒だと、そのときは本気で思っていました。相手の誕生日を覚えるのも、欲しがっていたものを贈るのも、友達なら当たり前だと信じて疑いません。彼女との約束を後回しにしている自覚すら、俺にはありませんでした。
聞こえてきたのは、低い男の声だった
ヘッドセットの配線がゆるんでいたことに、俺は最後まで気づきませんでした。相手の声は、俺の耳だけでなく、パソコンのスピーカーからも部屋中に漏れ続けていたのです。
はじめのうちは、いつもの可愛らしい声でした。けれど相手の側で一度音声が途切れ、戻ってきたとき、ボイスチェンジャーが入れ直されていなかったのでしょう。加工の外れた地声が、そのまま同じスピーカーから流れ出します。「おーい、聞こえてる?ごめんごめん」。慌てて開いたプロフィールには、自称20代の女の子ではなく、50代くらいの男性の情報が並んでいました。俺をわかってくれていたのも、疲れさせなかったのも、ずっとこの人だった。そう理解した瞬間、自分が何を選んできたのかが、急に恐ろしくなりました。
そして...
彼女が上着を手に取り、振り返らずに言いました。「一緒にいて疲れない相手が、会ったこともない50代のおじさんで、本当によかったね」。何か言おうと口を開いた俺の前で、玄関のドアが閉まりました。疲れないと信じた相手に、俺は現実のすべてを後回しにしていたのです。机の端で冷めきったコーヒーに、俺は初めて気づきました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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