記念日のディナーを諦めた俺が、彼女に内緒で用意していたもの
取り返しのつかない確認ミス
付き合って二年の記念日に、彼女をいちばん喜ばせたかった。だから一カ月前から、人気のレストランを予約しておいたつもりでした。ところが当日になって、自分が席を取った日付が違っていたことに気づいたのです。
慌てて店に頼み込んでも、満席のため席はありません。情けなくて、彼女に本当のことを打ち明けられませんでした。代わりに送ったのが、「ごめん、今日は行けなくなった。予約も取り消した」という、突き放すような一行でした。
隠したかった花束
実はもう一つ、用意していたものがありました。彼女のために特注した花束です。宛名には、二人きりのときだけ呼んでいる、あの呼び名を書いてもらいました。届いたら、ディナーの席で渡すつもりだったのです。
ところが店の予定は崩れ、花束だけが届いてしまいました。マンションのエントランスで受け取った時、ちょうど彼女が立っていたのです。サプライズを台無しにしたくなくて、俺はとっさに花束を背中へ回しました。「その花、誰からなの」と聞いてくる彼女に、「ごめん、今は言えないんだ」と返すのが精一杯でした。
彼女を不安にさせた本当の罪
立ち去る彼女の横顔を見て、ようやく自分のしたことの重さに気づきました。予約を間違えたことよりも、それを正直に言えなかったこと。サプライズを守ろうとして、彼女をひとりで悩ませてしまったこと。
完璧な記念日にしたい。その気持ちばかりが先に立って、いちばん大切な正直さを後回しにしていました。立派な花束も、特別なお店も、隠しごとの上では何の意味も持たないのだと、彼女の沈んだ表情がそっと教えてくれました。
そして...
その後、俺は彼女にすべてを話しました。「予約の日を、俺が間違えてた」。そう打ち明けると、彼女は少し驚いた顔をして、それから小さく笑ってくれました。
あの花束の宛名が、二人だけの呼び名だったことも伝えました。知らない名前だと思って傷つかせたことを、心から謝りました。次に記念日が巡ってきたら、完璧さよりも、まず正直でいようと思います。隠しごとのない場所でこそ、彼女と本当に笑い合えるのだと、今は分かるからです。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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