彼女の苦手な食材を黙って買い続けた僕。良かれと思った行動が招いた誤解
リストにそっと書き足した食材
買い物アプリの共有リストに、僕は少しずつ食材を書き足していました。ピーマン、セロリ、パクチー。どれも彼女が苦手だと話していたものです。それでも僕には、ひとつの思いがありました。きっと、調理の仕方が合わなかっただけなんじゃないか。美味しく作れば、彼女もこれらを好きになってくれるかもしれない。そう考えて、仕事帰りにこっそり食材を買い、レシピを調べる日々が続いていたのです。
黙って続けた、台所での練習
なぜ彼女に言わなかったのか。今になって思えば、サプライズのつもりが半分、もう半分は、自分でもうまく説明できない意地のようなものでした。僕の実家では、好き嫌いは「わがまま」として扱われ、出されたものは残さず食べるのが当たり前でした。だからどこかで、彼女の「苦手」も、ちゃんと向き合えば乗り越えられるものだと決めつけていたのだと思います。彼女に確かめもせず、よかれと信じて野菜を炒める。その独りよがりさに、僕はまだ気づいていませんでした。
届いたスクショと、ひとつの質問
その日、僕は台所でピーマンの肉詰めを焼いていました。今日こそ気に入ってもらえるだろうかと考えていたそのとき、彼女からメッセージが届いたのです。開いてみると、共有リストのスクリーンショットと一緒に、「なんで私の苦手なものばっかり追加されてるの?」という一言が届いてました。どう返せばいいのか、僕は何度も文面を打っては消しました。ごまかすこともできた気がします。それでも結局、「美味しく作れたら、好きになってくれるかもって思ったんだ」と正直に送りました。打ち込んだ瞬間、自分がいかに彼女の気持ちを置き去りにしていたかが、はっきりと見えました。気づけば僕は、「勝手だったよね。ごめん」と続けて送っていました。
そして...
あの日から、僕たちは買い物リストを一緒に見ながら、食べたいものを話すようになりました。彼女の「苦手」は、僕が直してあげるものではなく、まずは尊重すべき気持ちだったのだと、ようやくわかったのです。家に帰ってきた彼女は、僕が焼いたピーマンの肉詰めをひとくち食べて、「意外と、悪くないね」と言ってくれました。好きになってもらうことより先に、彼女の声をちゃんと聞くこと。そんな当たり前を教えてくれた一皿を、僕はこれからも忘れないと思います。
(20代男性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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