共有アルバムに、私の名前が書かれた知らない席札の写真が増えていた話
アルバムに増えた一枚
ふたりで撮った写真をためていく共有アルバムを開くのは、ちょっとした楽しみでした。その日も同じ気持ちで通知をタップしたのです。けれど表示されたのは、私の知らない写真でした。きれいに片づいたお店の個室。長いテーブルの上には、何枚もの席札が等間隔に並んでいます。目を近づけると、そのうちの一枚に私の名前が書かれていました。ほかの席札には、彼の名前も。私はそんな集まりに出た覚えも、誘われた覚えもありません。どこで、誰が、何のために用意したものなのか。何ひとつ思い当たらないまま、画面を何度もスクロールして確かめました。
短い返事と、広がる想像
考えていても答えは出ません。私は彼にメッセージを送りました。「アルバムに知らない写真があったんだけど、これ何の集まり?」。返事はすぐに来ました。「ごめん、それまだ見せるつもりじゃなかったんだ」。それきり、彼からの言葉は途切れました。何の集まりかも、なぜ私の名前があるのかも答えてくれません。やましいことがないなら、どうして見せたくなかったのでしょう。私の知らないところで進んでいる、私の知らない予定。もしかして、別の誰かとの大事な席に、私の名前を借りただけなのではないか。考えれば考えるほど、よくない想像ばかりが膨らんでいきました。
個室に並んだ席札の意味
もやもやを抱えたまま、私は彼と会って話すことにしました。向かい合うと、彼は少しばつが悪そうに切り出しました。「今度、うちの両親に会ってほしくて」。あの個室は、彼が予約したお店でした。席札も、その日のために彼が用意したものだったのです。私を驚かせるつもりで内緒にしていたのに、確認用に撮った写真が、共有アルバムに勝手に上がってしまったのだといいます。種明かしを聞いて、ようやく事情がのみ込めました。張りつめていた気持ちが、少しずつほどけていきます。とはいえ、ひとりで不安を抱えていた時間を思うと、素直に喜びきれない自分もいました。
そして...
うれしさと、ちょっとした複雑さ。両方を抱えたまま、私は正直に伝えました。「サプライズより、ちゃんと話してほしかった」。彼は言い訳もせず、うなずいて受け止めてくれました。隠しごとのない人だと思っていたぶん、内緒にされていたことは少しさみしかったのです。それでも、私のために席を整えてくれた気持ちは、まっすぐ伝わってきました。次に会うのは、彼のご両親と囲むあのテーブル。今度はふたりで準備をしようと、私たちは笑い合いました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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