「妹みたいなもんだから」彼女にそう言い続けた俺→その言葉で本当は誰を守っていたのか
悪気はなかったはずでした
彼女と付き合って二年。俺には、近所で一緒に育った幼なじみがいます。兄弟のいない俺にとっては、本当に妹のような存在でした。だから連絡を取り合うことに、後ろめたさなんてありませんでした。「今日もおつかれ!また連絡するね」と届けば、「おう、いつでも」と返す。それが、ずっと変わらない習慣だったのです。彼女の前でもその手を止めなかったのは、隠すようなことは何もないと信じていたからでした。
見ないふりを続けて
思い返せば、彼女は前にも同じことを口にしようとしていました。けれど俺はそのたびに軽く笑って、妹みたいなものだからと受け流していたのです。その言葉さえ出せば、何ひとつ説明しなくて済む。俺はその便利さに、いつまでも甘えていたのだと思います。彼女の返信が少しずつ短くなっているのには気づいていました。それでも、向き合うのが怖くて、見ないふりを続けていたのです。
画面に並んだ、別れの言葉
ちょうど幼なじみとやりとりをしていたとき、彼女から一通のメッセージが届きました。「毎日毎日幼なじみの女の子とやりとりを続けるの、やめてほしい」。俺は深く考えもせず、いつものように返しました。「妹みたいなもんだから」と。何か言葉を継ぎ足そうとした、その瞬間のことでした。彼女から、先に文字が届いたのです。「妹みたいなもんだから、って言葉、もう聞きたくない。私は、その『妹みたいなもん』にすらなれなかったんだね。別れよう」。
画面に並んだその文字を、俺は何度も読み返しました。返事を打ちかけては消し、消しては打ち直しているうちに、彼女との時間は、もう終わってしまっていたのです。
そして...
彼女がいなくなってから、俺はようやく自分のしてきたことの意味を考えはじめました。妹みたいなもの。その言葉に逃げ込む間、いちばん近くにいた人を、ずっと遠ざけていたのだと。
俺は幼なじみと距離を置くことにしました。そして彼女に、「幼なじみと距離を置くことにした」とだけ送ったのです。本当は、そのあとに続けたい言葉がありました。今さらだけど一度だけ話せないか、ずっと向き合うのを避けていたことを、ようやく謝りたい、と。最初の一通に既読がついたのを見て、俺は急いで続きを打ちました。けれど打ち終える前に、その文字はもう彼女に届かなくなっていたのです。ブロックされたのだと気づいたとき、自分の言葉を届ける資格など、とっくに失っていたのだと思い知りました。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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