見た目を盾に遅刻と仕事の押し付けを続ける部下。お気に入りの課長の前で彼女が黙り込んだ日
遅れて来ても許される人
私の部下は、誰が見ても整った容姿の持ち主でした。みんなが仕事を始めても彼女の席が空いていることは珍しくなく、それでも笑顔で頭を下げれば、その場の空気はやわらいでしまうのです。資料作りや雑務を頼むと、彼女はいつもこう言いました。「先輩なら安心して任せられるので、お願いできますか?」その一言で、私は何度も自分の仕事を後回しにしてきました。課長は彼女を気に入っていて、私が遅刻を注意すると、かえって「君ももう少し優しくしてやれよ」と言うほどでした。
課長が任せた大事な仕事
ある日、課長が大切な取引先への提案資料を彼女に任せました。期待されているのが伝わる任せ方で、彼女も「頑張ります」と笑っていました。ところがその数日後、完成しているはずの資料は、私の机の上にありました。「方向性だけ整えてもらえたら、あとは自分でやるので」と彼女は言いましたが、結局その資料は最初から最後まで私が仕上げることになったのです。取引先の名前も、過去のやりとりも、彼女はほとんど把握していませんでした。
打ち合わせで起きたこと
打ち合わせの日、取引先の担当者は資料を見て、「資料、すごく分かりやすかったです」と声をかけてくれました。彼女は得意げにうなずいていました。すると課長が、彼女に向かって「この部分、もう少し説明してもらえる?」と言ったのです。
彼女は「えっと、それは」と口にしたきり、手元の資料をめくるばかりでした。見かねた私が代わりに説明をすると、課長の視線が彼女と私の間を行き来しました。打ち合わせのあと、課長は私に向かって、彼女にも聞こえる声でこう言いました。「この資料、君が作ったんじゃないか」
そして...
私は否定しませんでした。ただ、これまで積み上げてきた仕事のことを思い返していました。その日を境に、課長は仕事の割り振りを見直すようになりました。誰が何を担当し、誰が実際に手を動かしているのか。当たり前のことに、ようやく目が向けられたのです。彼女の容姿も笑顔も、もう仕事の評価をごまかす盾にはなりませんでした。遅れて来る回数も、少しずつ減っていきました。私は前と変わらず自分の仕事を続けています。けれど、まっすぐ見てもらえているという実感が、足取りを軽くしてくれました。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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