最後の一個だから絶対に喜ぶと思い購入→妻が本当に欲しかったのは、僕が選んだケーキではなかった
妻のために選んだはずが
最近の妻は、仕事も家のことも頑張っていて、少し疲れているように見えていました。だから何か喜ぶものを買って帰りたくて、「ケーキ買って帰るね。何がいい?」とメッセージを送ったのです。
返ってきたのは「あのお店のチーズケーキがいいな」でした。
よし、それなら行こうと、僕は帰り道にそのお店へ向かいました。妻の笑顔を思い浮かべながら、足取りは軽かったのを覚えています。
行列の先で見つけたもの
お店に着くと、ショーケースの前は人だかりでした。お目当てのチーズケーキはちゃんとあります。
けれどその隣で、色とりどりのフルーツをのせた、季節のショートケーキがどんどん売れていくのが見えました。SNSで話題なのか、購入していく人が次々と現れます。
僕が気づいたときには、ショートケーキは残り一個でした。みずみずしいフルーツが詰まっていて、見るからに華やかです。
これだけ売れているのだから間違いない、妻もきっとこういうおしゃれなものが好きなはずだ。そう思い込んだ僕は、最後の一個を迷わず手に取りました。
得意げに差し出した箱
家に帰り、僕は紙袋を妻に差し出しました。きっと驚いて喜ぶだろうと思っていたのです。ところが箱を開けた妻は、少し戸惑った様子でした。
僕は得意げに「え、だってこっちのほうがおいしそうでしょ?」と言いました。妻は「うん、ありがとう」と笑ってくれましたが、その笑顔はどこか控えめでした。
しばらくして妻が「本当はね、あのチーズケーキ、ずっと楽しみにしてたんだ」とこぼしたとき、僕はようやく気づきました。よかれと思って、妻の「食べたい」を僕の好みで上書きしてしまっていたのです。
そして...
僕は「あのショートケーキ、最後の一個だったんだ。すごく売れてたから、これなら間違いないと思って」と打ち明けました。そして「ごめん、頼まれたものもちゃんと買えばよかったね」と謝りました。
自分がいいと思ったものと、妻が頼んだもの。どちらも買って帰れば、二人とも笑顔になれたはずでした。妻は許してくれて、ショートケーキは半分こにして一緒に味わいました。おうちカフェのような時間に、妻はうれしそうに笑っていました。
次の休みには、今度こそあのチーズケーキを買いに行きます。相手の「これがいい」を、まず大切にすること。そんな当たり前を、甘いショートケーキと一緒にかみしめた出来事でした。
(30代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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