2人で行くはずの約束が直前に大人数に変わって、好きな人の隣で私は笑えなくなりました
楽しみにしていた約束
彼とは、友達と呼ぶには近く、恋人と呼ぶにはあと1歩、そんな関係が続いていました。新しくできた水族館に2人で行こうと決めたのは、何気ない会話の中でした。それでも私にとっては、特別な約束のつもりでした。出かける日に向けて、着ていく服を選んだり、行き方を調べたり。準備をしている間、何度も予定を確認しては、ひとりで楽しみを膨らませていました。そんなとき、彼からメッセージが届きました。「今度の約束さ、友達も誘っちゃった。みんなで行ったほうが楽しいかなと思って」。画面の文字を、私はしばらく見つめていました。返信を打っては消して、結局、短く了解の言葉だけを送りました。
輪の外側で
待ち合わせの場所に着くと、彼の横にはすでに2人の友達がいました。彼はいつもより明るい様子で、私に手を振りました。水族館の中を歩く間、会話の中心はずっと彼と友達でした。昔の思い出話や、私の知らない誰かの名前。私は相づちを打ちながら、半歩うしろをついて歩くばかりでした。
大きな水槽の前で、3人が肩を並べて笑っています。その光景を、私は少し離れた場所から眺めていました。順路の途中で、彼が振り返って言いました。「この後、みんなでご飯も行こうよ」。私は「うん、いいね」と答えました。本当は2人きりの時間がほしかったけど、それを口にできるはずもありませんでした。
2人になった数分
友達の2人が、お土産売り場のほうへ先に歩いていったとき、ふいに彼と2人きりになりました。私は心のどこかで、何かが変わる瞬間を待っていたのかもしれません。彼は私のほうを見て、何か言いかけました。
けれど結局、口から出たのは感想だけでした。私はうなずくだけで、それ以上は踏み込めませんでした。2人で行こうと決めたあの約束は、彼にとっては軽い思いつきだったのかもしれない。そう思うと、ひとりで楽しみにしていた自分が、急に恥ずかしくなりました。
そして...
帰ってから、その日の写真を見返しました。3人で笑う写真の端に、少しだけ写る私。どの写真を見ても、私はいつも輪の外側にいました。どうして2人の約束を変えたのか、結局聞けないままでした。聞いてしまえば、ほしくない答えが返ってきたらと思うと、こわかったのです。それでも、これだけはわかりました。私は誰かの「みんな」の1人ではなく、その人にとっての特別な1人でいたい。今度こそ、自分の気持ちをちゃんと言葉にしようと思います。ひとりで期待を膨らませて、ひとりでしぼませるのは、もう終わりにしたいから。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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