「この動画見て。あ、まだ決まんないの?」→私は何も言わずスマホをしまった
探すのはいつも私だった
ふたりで出かけるとき、行き先を決めるのは、たいてい私でした。お店を調べるのも、待ち合わせを決めるのも、気づけば全部ひとりで引き受けています。その友人は毎回「まかせる」と言うだけで、自分から動くことはありません。そんな日が積み重なるうちに、私の中には小さな不満がじわじわ溜まっていきました。
今回も私は、評判のよさそうなお店をいくつも調べ、候補を絞り込んでいました。隣の友人もスマートフォンを触っているので、一緒に探してくれているのかと思いきや、ふいにこちらへ画面を向けてきました。映っていたのは、SNSで話題だという期間限定のお店の動画です。「この動画見て。あ、まだ決まんないの?」。行きたいお店があるなら言えばいいのに、調べるのは私まかせ。そのうえ急かしてくる態度に、溜まっていた不満が一気にあふれそうになりました。
何も言わず返した決定権
いつもの私なら、ここで「ごめんね、もう少し待って」と謝って、また黙々と探していたと思います。けれど今回は、もう同じことを繰り返す気になれませんでした。これまで何度も飲み込んできた不満が、とうとうはっきりと形になったのです。
私は何も言わず、開いていたお店の検索画面を閉じて、自分のスマートフォンをかばんにしまいました。友人はきょとんとした顔をしています。意味が伝わっていないようなので、私は続けて告げました。「じゃあ、あなたが決めてよ」。
さっき見せてきた動画のお店こそ、友人が本当は行きたい場所のはず。いつも私にまかせきりなのだから、たまには自分でやってみればいい。
間に合わなかったお店
友人があわてて調べ始めたときには、もうずいぶん時間が経っていました。お目当てのお店に問い合わせると、限定の品は売り切れてしまったとのこと。「えっ、もう終わってるの?」。画面を見つめる友人の声は、さっきの勢いとはまるで違っていました。
私は近くにあった小さな喫茶店を見つけて、「私はこっちでいいよ」と伝えました。落ち着いた雰囲気のいいお店で、私はのんびりお茶を楽しみました。隣の友人だけが、行けなかったお店のことを引きずって、ずっと浮かない顔をしていました。
そして...
帰り道、私は少しだけ清々しい気持ちでいました。思えば私は、ふたりで出かけるたびに、行き先も段取りも全部引き受けてきました。相手はそれを当たり前だと思い、感謝も手伝いもなく、急かす言葉だけは口にする。そんな関係を、私はもう無理に続けなくてもいいのだと思います。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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