『ものに罪はないだろ?』元カノのネックレスを外さなかった俺→後から気づいたこと
おしゃれのつもりだった、それだけ
久しぶりの2人での遠出に、俺は柄にもなく服を選び、少しだけおしゃれをしたい気分でした。引き出しを開けて目に入ったのが、その銀色のネックレスです。普段つけないからこそ、たまにはいいかと手に取った。正直、それが誰からのものかなんて、その時は頭にもありませんでした。
彼女の視線が首元で止まったのに気づきます。「そのネックレス、あなたの趣味じゃないよね」そう聞かれて、俺は隠すことでもないと思い、正直に答えました。「元カノにもらったやつ」やましいことなど何もない。だからこそ、普通に言えたのです。
『外してほしい』に、俺が返した言葉
立ち寄ったカフェで、彼女は少し困ったような顔でこう続けました。「正直、外してほしいなって思っちゃう」その瞬間、俺はなぜか引き下がれなくなりました。物に未練なんてない。なのに、つけるなと言われると、せっかくの一日に水を差された気がして、つい意固地になってしまったのです。気づけば俺は、こう返していました。「ものに罪はないだろ?」さらに、「気にしすぎだよ」と。今思えば、彼女が言いたかったのは物の話ではなかった。けれどそのときの俺は、自分の正しさを証明することしか考えていませんでした。
守りたかったのは何だったのか
彼女はそれから、ネックレスの話をしなくなりました。口数も減り、笑い方もどこかよそよそしくなっていったのです。元カノに気持ちが残っているのかと自問しても、答えは「ない」でした。たぶん、本当にない。それでも俺は、誰かに「捨てろ」と言われて素直に従う自分が、なんだか負けのように思えていたのです。おしゃれをしたかっただけの一日が、こんなふうにこじれてしまった。守りたかったのは、もしかすると物ですらなく、ただの意地だったのかもしれません。
そして...
ひとりになったとき、ふと首元のネックレスを外してみました。手のひらに乗せると、ずいぶん軽いことに気づきました。こんなに軽いもののために、俺は彼女の「嫌だ」を理屈でほどき続けていたのか。せっかくの遠出を、もっと楽しい一日にできたはずなのに。物に罪はない。その言葉は正しかったはずなのに、正しさで人の気持ちを押し返したことに、ようやく気づきました。次に会うときは、ちゃんと話そうと思います。間に合うかはわからないけれど、まずは自分の意地を、先に手放すところから始めようと決めました。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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