「ブログなんて誰も読んでないよ」と夫に笑われた数年後、出版社から届いた一通のメール
続けることだけはやめなかった3年間
子育てが少し落ち着いた頃、暮らしの記録を残したくて小さなブログを始めました。今日の献立、節約のアイデア、季節の手作り、娘とのささやかなやりとり。誰かに見せるためというより、自分のために書いていたつもりでした。
最初は誰も読まなくて当然だと思っていました。それでも月に数人、半年経つと数十人の方が読んでくださるようになり、コメントをもらえる日もありました。
私はそれが何より嬉しくて、夕食の片付けを終えてから1時間だけ机に向かう時間を、3年間欠かしませんでした。
「誰も読んでないのに何が楽しいの」
ある夕食の時、夫がふと言いました。
「ブログなんて誰も読んでないよ」
テレビを見ながらの、半ば独り言のような口調でした。私が答えないでいると、夫はもう一言。「誰も読んでないのに何が楽しいの」
娘が私と夫の顔を見比べていました。私はお茶碗を片付ける手を止めずに「楽しいよ」とだけ答えました。それ以上、何も言いたくありませんでした。
夜、洗い物を済ませて机に向かったとき、いつも通り記事を書きました。手が止まることはありませんでした。ただ、夫に見せるための文章ではないということだけは、その夜にはっきりと自分の中に書き込まれた気がしました。
土曜の昼に届いた知らないメール
それから1年ほど経ったある土曜日の昼。スマートフォンの通知に気づいて画面を開くと、見覚えのないアドレスからメールが来ていました。差出人は中堅の出版社で、編集者の方からのご連絡でした。
「ブログを拝読いたしました。日々の暮らしの綴り方が温かく、丁寧で、ぜひ一冊にまとめてみませんか」
最初は誰かのいたずらかと疑い、出版社の公式サイトを確認し、その編集者の名前を検索し、本物だと分かるまで30分以上かかりました。
台所で麦茶を飲みながら、何度もスマホを握り直していました。
そして...
書籍化が正式に決まったのは、それから1カ月後でした。私は夫にすぐには伝えませんでした。書籍化が正式に決まった夜の夕食の後、画面を見せて「これ、見て」とだけ伝えました。
「来月、本になるって」夫は画面を覗き込んだまま、しばらく動きませんでした。「……すごいな」とだけ返したきり、その夜はそれ以上何も言いませんでした。
笑われ続けた数年間が、間違っていなかったと教えてもらえた気がしました。夫を見返したかったわけではないのです。ただ、自分のために書き続けてよかったと、3年目の春に思えたことが、私にとって何より大きなご褒美でした。
(30代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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