親切のつもりで安い物件を勧めた20代女性客→2週間後、店長から渡されたネット口コミ
親切心のつもりだった
土曜日の午後、店に来たのはパーカーにジーンズ姿の20代と思しき女性でした。希望は駅徒歩10分以内の1LDK、家賃は15万円台と聞いて、正直に言えば「無理してるな」と思いました。
お一人で来ていることも気になりました。「失礼ですが、お一人でいらしたんですか?」「はい、一人で住む部屋なので」俺はもう一押し確認しました。「お一人で決められるんですか?」「決められます」と返ってきました。
落ち着いた答え方でしたが、俺の中ではすでに、もっと現実的な物件に誘導したほうがこの人のためになるという考えが固まっていたのです。
気遣いだと思っていた
彼女の職業と年収を聞き、「システムエンジニアで、年収は800万円ほどです」と返ってきたとき、俺は「あー、なるほどです。えっと、もう少しお家賃を抑えた物件もご紹介できますよ」と切り出しました。
彼女は「いえ、最初の条件で探していただけますか」と答えましたが、俺は安い物件のチラシを3枚ほど差し出しました。「20代女性でお一人だと、15万円台はちょっと厳しいかなと、僕、心配で言ってるんです」「彼氏さんと相談してから決められたほうが安心ですよ」これは全部、気遣いだ。良かれと思って言っている。そう思い込んでいました。
そうすると彼女が席を立って「ありがとうございました」と頭を下げて出て行ったときも、俺は「無理しなくて正解ですよ」と心の中でつぶやいていました。
店長に呼ばれた朝
2週間後の月曜日、出社すると店長から呼ばれました。机の上には、ネットの口コミの印刷が一枚置かれていました。「これ、お前の対応のことだろう」そこには、あの土曜日に来店した女性が、丁寧な文章で店での対応を書き残していました。
「お一人で決められるんですか?」というセリフも、はっきりと書かれていました。さらに店長は続けました。「向かいの店で、その日のうちに1LDK決めたらしいよ。16万円の物件」俺は何も言えませんでした。気遣いだと思っていたものが、実は相手を値踏みしていただけだったと、突きつけられた朝でした。
そして...
あの日、俺が彼女に渡したチラシは、彼女のためのものではなく、自分の偏見を確認するためのものでした。「20代女性、ひとり、パーカー」という表面だけを見て、勝手に物語を作り上げていたのです。
今では新人にもよく言います。お客さんが自分で決めたい予算を、こちらが勝手に下げてあげるのは親切じゃない、と。あの土曜日の時間で失ったのは、たぶん契約1件分の数字なんかじゃありませんでした。
(20代男性・不動産仲介営業)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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