「この服どっちがいい?」に「右」「左は嫌」しか返さない彼の、不器用な本心が見えた話
服選びで限界が来た夜
デート前日の夜、私はワンピースを2着並べて写真を撮りました。
「この服どっちがいい?」。彼の意見が聞きたかったし、デートを楽しみにしている気持ちも伝えたかったのです。
しばらくして返事が届きました。「右」。それだけでした。スマホの画面を見つめて、思わず眉を寄せました。理由のひとことくらい添えてくれてもいいのに、と思いながら「なんで?」と聞き返しました。返ってきたのは「左は嫌」というメッセージ。私は画面に向かって思わずつぶやきました。「いや、嫌な理由を聞いてるんじゃなくて」と。
いつもこの調子の返信
思えば、彼の返信はいつもこんな感じでした。誕生日にプレゼントをあげた時の感想は「ありがとう」だけ。新しい髪型を見せても「いいんじゃない」だけ。私の手料理を食べても「うまい」と短く言うだけ。
友人の彼氏は、こちらが聞いてもいないのに、似合う色やシルエットの話まで詳しくしてくれるそうです。それと比べて、うちの彼ときたら、感想を聞き出すのにこんなに苦労するのか、と少し落ち込んでしまいました。冷たいわけではないのは知っています。デートの計画はちゃんと立ててくれるし、待ち合わせに遅れたこともない。それでも、言葉が欲しい瞬間というものがあるのです。
思い切って伝えた本音
次に会った日、私は思い切って伝えました。「もっとちゃんと感想を言ってほしい」。彼は考え込むような顔をした後、しばらく黙ってから口を開きました。
「言葉にするのが苦手なんだ」。意外な答えでした。学生時代から作文も読書感想文も苦手で、頭の中にある気持ちを文字にするとどうしても短くなってしまうのだと、彼はぽつぽつと話してくれました。
「右がいいと思ったのは本当だよ。色も形もきみに合うと思ったから」。「左は嫌」は、ただ消去法で出てきた言葉だったと知って、私はようやく彼の不器用さの正体に気づいたのです。
そして…
言葉数の多さが、そのまま愛情の量ではないということを、私はそれまで気づけていませんでした。たくさん感想を言ってくれる人がうらやましかったけれど、彼には彼のやり方があったのです。
それからは、聞き方を少し変えてみました。「どこがいいと思った?」「色?形?」と具体的に尋ねると、彼は時間をかけてでも答えてくれるようになりました。返ってくる言葉は今も多くありませんが、ひとつひとつが彼なりに考え抜いた言葉なのだと思うと、ひとことの「右」も、少しだけあたたかく見えてくるのです。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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