吉沢亮(提供写真)

吉沢亮「国宝」映画化 “国の宝”となる稀代の女方歌舞伎役者に「途方もない挑戦」

2024.03.05 05:00

俳優の吉沢亮が、歌舞伎界を舞台にした原作「国宝」(吉田修一著/朝日文庫/朝日新聞出版刊)を映画化した『国宝』(2025年公開)で主演を務めることが決定した。


吉田修一最高傑作「国宝」映画化

(C)吉田修一『国宝』(上 青春篇)朝日文庫
(C)吉田修一『国宝』(上 青春篇)朝日文庫
原作は2017年から朝日新聞にて連載された同名長編小説。連載時から大きな話題となり、2018年に単行本化された。日本文学の伝統に脈々と流れる芸道小説の金字塔にして、吉田の最高傑作と言われている。2019年第69回芸術選奨文部科学大臣賞、第14回中央公論文芸賞をダブル受賞し、吉田自身が、3年の間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験を血肉にし、書き上げた渾身の作品。

吉田の作家生活20周年記念作品となる「国宝」は、4年の歳月をかけて書き上げた上下巻800ページを超える大作で、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎の世界に飛び込み、芸の道に青春を捧げ、芝居だけに生きてきた喜久雄が、その命を賭けてなお、見果てぬ夢を追い求めていく壮大な物語だ。

「国宝」主演は吉沢亮 女方歌舞伎役者に挑む

(C)吉田修一『国宝』(下 花道篇)朝日文庫
(C)吉田修一『国宝』(下 花道篇)朝日文庫
『キングダム』(2019年)で信の親友・漂と、玉座を奪われた秦国の王・エイ政の二役を見事に演じ分け、2020年第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、第62回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。『東京リベンジャーズ』シリーズでは、圧倒的なカリスマ性を持った「無敵のマイキー」こと佐野万次郎を演じ、2021年の興行収入実写作品ナンバーワンの記録に貢献。2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」に主演、13歳から91歳までの渋沢栄一を演じ切り、第30回橋田賞新人賞を受賞した吉沢が、30歳となった節目の年に、芸の道に人生を捧げる主人公・喜久雄に挑む。

物語の舞台は、戦後から高度経済成長期の日本。任侠の家に生まれた喜久雄は、数奇な運命をたどり、歌舞伎役者の家に引きとられる。激動の人生の中で、やがて歌舞伎役者としての才能を開花させていく。

これまで踊りの経験がなった吉沢は、まずはまっすぐ歩くことから始め、すり足で歩く、正座の仕方、扇子の持ち方、取り方など、基本動作から始めた。稽古初日は、まっすぐ歩くことだけで終わり、撮影時にきちんと踊ることが出来るのか不安もある中、他の仕事をセーブし、撮影本番のギリギリまで日々歌舞伎の稽古を行い、名もなき青年が国の宝になるまでの、稀代の歌舞伎役者・喜久雄に近づけるよう全身全霊で立ち向かう。

監督は「悪人」「怒り」再タッグの李相日

吉田修一、李相日監督(提供写真)
吉田修一、李相日監督(提供写真)
本作『国宝』のメガホンをとるのは、『フラガール』(2006年)で日本中を感動の涙で包み、日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞を受賞した、監督・李相日。初めて吉田作品に挑んだ『悪人』(2010年)は、第34回日本アカデミー賞13部門15賞受賞、最優秀賞主要5部門を受賞し、第35回報知映画賞作品賞、第84回キネマ旬報日本映画ベストテン第一位、第65回毎日映画コンクール日本映画大賞など国内のあらゆる映画賞を総なめにし、第34回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門で最優秀女優賞を受賞するなど、海外でも高い評価を得る名作となった。2013年『許されざる者』ではベネチア国際映画祭に招待、再び吉田原作に挑んだ『怒り』では第64回サン・セバスティアン国際映画祭コンペティション部門に唯一の邦画作品をして出品され、大きな話題を呼んだ。

脚本は、第46回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門招待作品、相米慎二監督の『お引越し』(1993年)で脚本家デビューし、『八日目の蝉』(2011年、第35回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞)、『コーヒーが冷めないうちに』(2018年)のヒット作品を手掛け、細田守監督の『時をかける少女』(2006年)、『サマーウォーズ』(2009年)、『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)で東京アニメアワード個人賞(脚本賞)を受賞の奥寺佐渡子が手掛ける。撮影は、今月3月からスタートし、6月クランクアップ予定。(modelpress編集部)

吉田修一(原作)コメント

『悪人』『怒り』、そして『国宝』へ。夢が叶う。三たび、信頼する李相日監督に自作を預けられる喜びにあふれている。そしてもう一つ、夢が叶う。『国宝』執筆中も書き終えてからも、ずっとあることを夢見ていた。無理は承知ながら、この稀代の女方・立花喜久雄の舞台を一度でいいからこの目で見てみたいと。その夢が叶う。吉沢亮という稀代の役者を迎えて。

李相日(監督)コメント

芸に身を捧げ、人生を翻弄される多彩な登場人物たちが織りなす豪華絢爛な歌舞伎の世界観。吉田さん渾身の作品を担う重圧に慄えが止まりません。小説刊行からの構想6年。言い換えれば、“覚悟“に要した年月です。決め手は、吉沢亮の存在。美しさと虚しさを併せ持つ妖艶なその存在感。役者として着実に成長し進化を遂げた今、まさに機が熟した宿命の出会いです。数多ある困難を超えた先に拡がる未知の世界に、関係者一同胸昂る思いです。

吉沢亮コメント

吉田修一先生×李相日監督の3作目。『悪人』ではただただ視聴者として感嘆し、『怒り』ではオーディションの参加者として、何も出来なかった自分への苛立ち、完成を観てのどうしようも無い昂まりと悔しさ。そして『国宝』では当事者としてなにを思うのでしょう。稀代の女方を演じると言う、途方もない挑戦ではございますが、その挑戦の先に見える景色が何よりも美しいものである事を信じて。日々精進です。
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