大杉漣さんへ…ビートたけし、最期を看取った松重豊らが捧げた言葉＜第27回東京スポーツ映画大賞＞

ビートたけし、名バイプレイヤーたちへのリスペクト

大杉さんは、1993年の『ソナチネ』から、今回受賞した2017年の『アウトレイジ 最終章』まで10本の北野武監督作品に出演。

たけしは、大杉さんをはじめ、助演男優賞を受賞した俳優陣に「主演ではないけれどみなさんすごい。このメンバーのお陰で主役が生きた。みなさん素晴らしくてありがたかった」と感謝するとともに、「漣さんは今日は残念ながらいらっしゃらないけど、映画を支えている人たち。よく観る人たちだけど毎回演技が違って画面に印象づける。本当にすごい役者さん」とリスペクトを送った。

松重豊、大杉漣さんと「つい4日ほど前」に話したこと

大杉さんの最期を看取った松重は「僕が映画デビューした時、大杉漣さんに映画の楽しさを手取り足取り教えて頂いた。そして世間に評価されることになった漣さんの北野映画に、僕も出演することができて、こんな晴れやかな場所に一緒に立てるんですねという喜びを、（漣さんと）つい4日ほど前に千葉の海で話したところだったんですが、すごく残念です」と大杉さんと交わした会話に思いを巡らせながらスピーチ。

「湿っぽいことが嫌いな漣さんなので、前を向いてみんなで頑張っていきたいと思います」と力強く語ると、天を仰いで「漣さん、これからも日本の映画を、僕達を見守ってください」と天国の大杉さんに向け呼びかけた。

西田敏行は“らしい”メッセージで大杉漣さんを追悼

同作で主演男優賞を受賞した西田は、「戦友を失いました。僕にとっては『釣りバカ（日誌）』でも非常に楽しく演じた思い出があるのでとっても辛い」とした上で、「あんなに突然逝ってしまうのは漣さんらしい。人間の死は寿命だと思うようにしないと納得出来ないので、寿命なのだと思うようにします」と自身に言い聞かせるかのように話し、「漣ちゃん、すいません。これからはあなたがずーっと出演されてきた北野作品に、私がこのままスライドすることになりました」と最後は笑いも交えて大杉さんにメッセージを送った。

大杉漣さんへ捧げる言葉

また、大森南朋は、「僕は『アウトレイジ』シリーズが好きで、出演を懇願していた。ついに出ることができて、こんな賞をいただけて非常に嬉しく思います。そしてこの賞（助演男優賞）を大杉漣さんと獲れたことを誇りにして生きていこうと思います」と胸を張り、ピエール瀧は、「北野組の映画に呼んでいただき、賞をいただいて、壇上でたけしさんに褒めていただくのが、こんな嬉しいものなのかと痛感しています」と喜びのコメント。そしてトロフィーを天に掲げ、「いただきたました。ありがとうございます」と大杉さんに語りかけているようだった。

また、塩見三省は「これからの人生、今日という日を何度も思い出すと思う。この1日を糧にして、また俳優というものに、映画というものに近づいていきたい」とこれからの俳優人生について語り、「大杉、俺はこんな体になったけど、もうちょっとやってみるよ。ありがとう」と呼びかけると、会場は拍手に包まれた。

「東京スポーツ映画大賞」とは

「東京スポーツ映画大賞」は1992年に発足した東京スポーツ新聞社主催の映画賞で、日本全国10以上の映画祭がノミネート審査に参加し、その結果を踏まえて、たけしが最終選考を行う。また第10回より「ビートたけしのエンターテインメント賞」が併設され、幅広い分野を選考対象とし表彰している。

今回は27回目の開催となり、作品賞を「アウトレイジ 最終章」、主演男優賞を西田敏行、塩見三省、主演女優賞を長澤まさみ、助演女優賞を広瀬すず、斉藤由貴が受賞。

また、たけしが選ぶエンターテインメント賞には、ブルゾンちえみ、小室哲哉、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾ら2017年の“顔”が選ばれた。（modelpress編集部）

第27回東京スポーツ映画大賞（※敬称略）

☆…出席者

作品賞：「アウトレイジ 最終章」
監督賞：☆北野武「アウトレイジ 最終章」
主演男優賞：☆西田敏行、☆塩見三省「アウトレイジ 最終章」
主演女優賞：☆長澤まさみ「散歩する侵略者」
助演男優賞：大杉漣、☆大森南朋、☆ピエール瀧、☆松重豊、☆金田時男「アウトレイジ 最終章」
助演女優賞：☆広瀬すず、斉藤由貴「三度目の殺人」
新人賞：☆金田時男「アウトレイジ 最終章」
外国作品賞：「ラ・ラ・ランド」

第18回ビートたけしのエンターテインメント賞（※敬称略）

日本芸能大賞：明石家さんま、☆綾小路きみまろ、☆島田洋七
日本芸能賞：☆ブルゾンちえみ、かまいたち、とろサーモン、☆ゆりやんレトリィバァ
特別賞：葉加瀬太郎
功労賞：小室哲哉、葛西紀明
話題賞：元横綱日馬富士＆貴ノ岩、豊田真由子元衆院議員、元SMAPの稲垣吾郎、草なぎ剛、☆香取慎吾