吉野北人&鈴木愛理が語る「愛する人のための隠し事」。“すれ違わない関係”に必要なこととは?
取材・文:瑞姫
撮影:洞澤佐智子
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部
愛する人のことを、私たちはどこまで知る必要があるのだろう。
好きだから、すべてを知りたい。何でも話してほしいと思う。一方で、大切だからこそ言えないことや、知らないほうが幸せなこともあるのかもしれない。
愛する妻に“元ヤクザ”であることを隠す夫・光弘と、夫に“敏腕社長”であることを隠し、専業主婦として暮らす妻・咲奈。誰よりもお互いを愛しているはずの二人は、それぞれに大きな秘密を抱えながら夫婦生活を送っている。しかし、些細なすれ違いからお互いに殺意を抱くようになってしまう。
そんな“秘密を持つ夫婦”を演じるのは、吉野北人さんと鈴木愛理さん。二つの顔を持つ役柄への挑戦や、共演して知った互いの意外な素顔について聞くうちに、話は二人自身の恋愛観へ。
愛する人とすれ違わないために、私たちは何を伝え、どんなふうに向き合えばいいのか。二人に、大切な人とのコミュニケーションについて聞きました。
■愛する人のための隠し事はアリ? 吉野北人『僕はすぐバレる』
――光弘と咲奈は、それぞれどんなキャラクターだと捉えていますか? また、ご自身と似ているところはありますか?
吉野北人(以下、吉野):光弘はサラリーマンでありながら、元ヤクザだったことを隠している人物です。でも何より、めちゃくちゃ愛妻家で妻のことが本当に大好き。一途でまっすぐな芯を持った男性だと思います。そういうまっすぐなところは自分で言うのもあれですけど、似てますね。
鈴木愛理(以下、鈴木):咲奈は帰国子女で、実は自分の会社を持つ敏腕社長。でも、そのことを隠しながら専業主婦として生活している女性です。私自身も仕事がすごく好きで、仕事をすることで周りの仲間たちも守りたい、というような気持ちがあるので、そういう正義感の部分は咲奈と似ているなと思います。
――お二人とも、“愛する人のためにあえて隠し事をする”役ですが、それについてはどう思いますか?
吉野:難しいところですよね。でも、二人ともよくうまくやってるなと思います(笑)。僕だったら、たぶん隠せないです。うまく誤魔化せないというか、自分では嘘をついているつもりでも、きっとバレバレなんです。親にも昔、「嘘ついてるのバレてるぞ」って言われたことがあって。本当に嘘をついていたんですけど……。顔に出ちゃうみたいです。
鈴木:私もこれは本当に難しい問題だと思うんですけど、出会ってからのことについては嘘をつきたくないです。全部知りたいし、全部聞きたいし、私も全部話したい。そういう関係でありたいなと思います。ただ、出会う前のことに関しては、相手が「聞きたい」と言えば話すし、「聞きたくない」と言われたら頑張って耐えます。私、すぐ話しちゃうので(笑)。
■吉野北人はコメディ、鈴木愛理は英語に奮闘 “新境地”の撮影
――今回の作品では、アクションや英語のセリフなどもありますが、挑戦だったことや大変だったことはありますか?
吉野:そもそもコメディ作品に出演すること自体が挑戦でした。ちょうど自分もコメディに出たいと思っていたタイミングだったので、新境地になる作品でしたね。どこまでやっていいのか、そのさじ加減は難しかったんですけど、監督から「やりすぎなくらいで大丈夫。違ったらこちらで調整します」と言っていただいていたので、思い切って演じることができました。
アーティストとして活動している時には絶対にしないような表情もたくさんしているので、ファンの皆さんも「こんな顔するんだ」と思うんじゃないかな(笑)。自分自身も新鮮な気持ちでお芝居ができて、楽しかったです。
鈴木:私は本当に英語が話せないので、「どうしよう!」っていうところから始まりました。もちろん英語の先生についていただいたんですけど、普通の英語と違う“コメディとしての英語”なんですよね。英語を話す時と日本語を話す時では、声のトーンや喉の使い方も違うような気がして、「どうしたらいいんだろう」と結構悩みました。でも、「むしろわざとらしいくらいでいいよ」と言っていただいたので、自分で見るのがちょっと恥ずかしいくらい、思い切って英語を話しています(笑)。
――今回は二人とも“表の顔”と“裏の顔”を持つ役でしたが、演じる上で意識したことを教えてください。
鈴木:咲奈は(表の顔と裏の顔で)見た目がかなり違うので、メイクと衣装にはすごく助けられました。見た目が変わると気持ちも変わるので演じやすかったです。印象に残っているのは、つけまつげをバッと外すシーン。一回失敗したらまた貼り直さないといけないので、「一発でいくぞ!」って言われて。ちょっと痛いくらい本気で挑みました(笑)。
吉野:この作品はモノローグが多いんですよね。心の中ではいろいろ考えているけど、実際には言葉を発していない。その心情を表情だけで表現するシーンは、どこまでやっていいのか難しかったです。僕は結構、うるさいくらいやりました。
■『神経質そう』『強そう』から一変。共演して知った互いの意外な素顔
――映画のように、相手を誤解していた経験や、逆に勘違いされていた経験はありますか?
鈴木:印象がめちゃくちゃ変わったという意味では、吉野さんのことをかなり勘違いしていました。クランクインする前は、本当にシュッとしている姿しか見たことがなかったので、「綺麗な顔のちょっと神経質そうな人」と思っていたんです。人見知りってバラエティ番組でも言っていたので……。
でも実際は、その想像を超えてきました(笑)。めちゃくちゃフランクだし、「やめなよ」っていうくらいふざけることにもちゃんと乗ってきてくれる。一方で、「やる時はやる」みたいな男らしさもあって。覚悟が決まっているんですよね。無茶振りもちゃんとやってくれるんです。
――例えばどんな無茶振りを?
鈴木:ドローンを使った撮影があったんですけど、なぜかみんなでドローンの音の真似をする流れになって(笑)。(吉野が)一番うまかったんですよ。それがすごく印象に残っていて、打ち上げで最後に一人ずつ挨拶をする時に、「ちょっとドローンの真似しなよ」って振ったんです。
普通なら絶対やらないじゃないですか。でも「本当に?」って言いながらマイクの前でちゃんとやって、見事に大スベりして(笑)。「覚悟決まってるな」と思いました。絶対にやらないタイプだと思っていたので、意外でした。すごく面白い人です。
吉野:それこそ僕も、鈴木さんに対しては最初のイメージと全然違いました。テレビでよく見ていたので、まず「テレビの人だな」っていう感じがあって。全部を見透かしていそうというか、すごく強そうな人なのかなと思っていたんです。
でも実際は全然そんなことなくて、すごく自然体な方でした。本当に裏表がないんですよね。自分と話している時も、スタッフさんやマネージャーさんと話している時も、その差が全然ない。だから自分も、自然体でいられたんだと思います。
■吉野北人&鈴木愛理が考える“すれ違わない関係”
――作中ではコミュニケーション不足が大きな事件につながりますが、お二人は普段、人とのすれ違いを防ぐために意識していることはありますか?
吉野:僕は「人が何を考えているのか」は話さないと分からないこともあると思ってるので、なるべく自分から話しかけるようにしています。普段16人という大人数で活動しているので、その日によっては一人ひとりと話す時間が取れないこともあるんです。でも、会話をしない日が続くと、仲が悪いわけじゃなくても、少しずつ距離ができてしまう気がして。だから会った時は、「髪伸びた?」とか、本当に些細なことでもいいから、一人ひとりと言葉を交わすようにしています。そういうコミュニケーションって、意外と大事なんじゃないかなと思います。
鈴木:私は逆に日常で本当に決まった人にしか会わないタイプで、しかも「この人大好き!」と思ったら、友達だろうがすごく愛情を注いじゃうんです。「信じる」と決めたら、とことん信じるタイプなので、たくさんの人を信じるというよりは、本当に少数派というか。ただ、信じた相手ほどLINEの返信がめちゃくちゃ遅くなっちゃうんですよ(笑)。それで怒られます。
――作中では夫婦のコミュニケーションも重要なテーマになっています。では、お二人が恋人同士のコミュニケーションで大切にすべきだと思うことは何ですか?
鈴木:私は疑問を感じたらすぐに聞いたほうがいいと思います。一回疑い始めたら、全部を疑っちゃうので。「何かおかしいな」と思ったら、その日のうちに聞く。「あのさ……」って問い詰める感じじゃなくて、「あの! ちょっと様子がおかしいと思っているのは私だけでしょうか!?」みたいな感じで(笑)。自分の勘違いかもしれないし、ちゃんと話してみないと分からないじゃないですか。だから、きちんと話すことは大切だと思います。
――吉野さんはどうですか? 男性だと“言わなくても分かるでしょ”ってタイプの人も多いと思うんですが……。
吉野:めっちゃ僕マメですよ。毎日連絡するタイプ。
鈴木:え〜珍しい男性! 超安心ですよね。生き残ってるんだそういう人。
――全男性に見習ってほしいですね……。それは相手を安心させたいって気持ちがあるからですか?
鈴木:自分が寂しいから?
吉野:そう。何もない時に相手が何してるんだろうなって、ちょっと気になっちゃうじゃないですか。……もうこれ以上は言いません! 恥ずかしいんで(笑)。
鈴木:でもレアです。こんなに話してくれるの。
――レアな吉野さんの一面が知れてうれしいです! では最後に、この作品をどんな人に観てもらいたいですか?
吉野:もちろんたくさんの方に観ていただきたいですけど、あまり年齢を選ばない、家族みんなで映画館に行って、クスクス笑いながら楽しめるような作品だと思うので、ぜひファミリーでも観ていただきたいですね。
鈴木: 私たちの中では、この映画を「ポップコーンムービー」と呼んでいるんです(笑)。映画によっては、「今ポップコーン食べたら音が気になるな」みたいな瞬間もあるじゃないですか。でもこの作品は、いつポップコーンを食べても大丈夫なくらい、ずっと賑やかでスピーディーに進んでいくんです。なので、ポップコーンを持ちながら気軽に楽しく観ていただきたい。
あと、ゾンビも出てきますし、ハロウィンも近いので、秋のイベントのひとつとして、映画館に足を運んでもらえたらうれしいです。主題歌のダンスも、きっとみんな踊りたくなると思います。
――ありがとうございました!
『昨夜は殺れたかも』
原作:藤石波矢・辻堂ゆめ『昨夜は殺れたかも』(講談社タイガ)
監督:松木 創
脚本:ブラジリィー・アン・山田
出演:吉野北人 鈴木愛理
工藤阿須加 王林 佐津川愛美 ISSEI 田中美久 オラキオ 河本準一(次長課長) 菅田俊/本宮泰風
企画・制作:共同テレビジョン
企画・プロデュース:栗原美和子
配給:ポニーキャニオン
公開日: 10 月 23 日(金)
©2026 映画『昨夜は殺れたかも』製作委員会
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