まもなく27年春夏ファッションウィーク 海外通信員が語る各都市の見どころ

楽天ファッション・ウィーク東京27年春夏に続き、いよいよ本格的なファッションウィークが始まる。ニューヨークからロンドン、ミラノ、パリへと続くファッションウィークの今シーズンの見どころを各都市の通信員が紹介する。
ニューヨーク 初参加のブランドも注目
27年春夏ニューヨーク・ファッションウィークは、ベテラン、若手とも話題多めのシーズンになりそうだ。Z世代の支持を得て好調な業績が続く「コーチ」は、創業85周年記念ショーを行い、アフターパーティーも計画している。ニューヨーク生まれでロンドンに本拠を置く、コナー・アイヴスの初参加も注目される。
ニューヨークの新進デザイナー、ヘンリー・ザンコフがアーティスティックディレクターになって初シーズンの「ダイアン・フォン・ファステンバーグ」のショー、かつて脚光を浴びた「シース・マルジャン」のクリエイティブディレクターだったサンダー・ラックの新ブランド「サンダーラック」の初のプレゼンテーションも気になるところだ。今年のCFDA・ヴォーグ・ファッション・ファンドのファイナリストの1人になったジェイミー・ハラーも、初めてのプレゼンテーションを見せる。
ベテランでは、「トム・ブラウン」と「トミー・ヒルフィガー」が今シーズン、ニューヨークでショーをする。「アルトゥザッラ」もまた力作を並べるのではないかと期待している。
ショー以外では、メーカーズシャツ鎌倉の「鎌倉クラシックス」と「エンジニアドガーメンツ」の鈴木大器氏との協業シャツ披露のパーティーが楽しみだ。「モンクレール」は、5番街にオープンする新しい旗艦店のオープニングレセプションを行う。
(杉本佳子通信員)
ロンドン マックイーンとマルベリーが戻る
ロンドン・ファッションウィークは、「マックイーン」と「マルベリー・バイ・クリストファー・ケイン」という、以前ロンドンをけん引した著名ブランドの新進クリエイティブディレクターによるカムバックが注目される。

マックイーンはアレキサンダー・マックイーンが02年春夏にパリに発表の場を移して以降、サラ・バートン時代にはメンズや16年秋冬にワンオフでウィメンズのファッションウィークに参加、コロナ禍に時期をずらして単独ショーを行っていた。今回はショーン・マクギアーのロンドンデビューによる10年ぶりのカムバックとなる。
「マルベリー」は歴代のクリエイティブディレクターによるショーやプレゼンテーションを行っていたが、近年はバッグを中心とするレザーグッズに注力。今回は3月にレディスウェアのクリエイティブディレクターに就任したクリストファー・ケインによるデビューコレクションで8年ぶりにショーを再開する。
加えて、最終日夜にショーを行う「バーバリー」が、ラグジュアリー系の主要ブランドとなる。有力ブランドでは、6月にフィレンツェで見せたメンズが好評を得た「シモーン・ロシャ」や「アーデム」「ロクサンダ」らが参加。「チョポヴァ・ロウェナ」「アーロン・エッシュ」「パオロ・カルザナ」が、1年ぶりにショーを見せる。「トーガ」も引き続きショーで参加する。
一方、ショーやプレゼンテーションを休止する若手が相次ぎ、若手発掘の場というこれまでのロンドンの景色が変わりつつある。
(若月美奈通信員)
ミラノ 新ディレクターのモスキーノも
ミラノ・ファッションウィークは、54のリアルショーと6のデジタルショーを予定している。注目は「モスキーノ」の新クリエイティブディレクター、ロリス・メッシーナとシモーネ・リッツォのデビュー。2人は「スンネイ」の共同創業者であり、元クリエイティブディレクターだ。
スンネイでは、観客の上にモデルがダイブしたり、アバターを用いたショーを見せたりといった、驚きを提供してきた。同ブランドを離れる直前、26年春夏のショーでは、デザイナー自らをオークションにかけてみせるという一風変わった形式のショーで話題を呼んだ。そんな彼らが「モスキーノ」の創造性と反骨精神をどう表現し、ファッションの将来を描き出すのかが楽しみだ。
また、「ヴェルサーチェ」は、7月1日付でピーター・ミュリエが新クリエイティブオフィサーに就任しているが、デビューは27年を予定しており、今回はコレクションの発表は無い模様だ。
大規模なイベントとしては、市内ヴィットリオ・エマヌエーレ2世アーケードで「ヴォーグ・ワールド・ミラノ」が開催される。「未来は手によって作られる」をテーマに、人間の身ぶりとテクノロジー、人工知能と手作業によるノウハウ、イノベーションと職人的伝統との関係性に焦点を当てる。伊ファッション評議会は、27年1月31日まで王宮で開かれる「ダリとファッション」展の開幕ガラ・ディナーを開催。絵画、素描、写真、衣服、映像、ジュエリー、オブジェなど200点を超える作品と資料が公開される。
(高橋恵通信員)
パリ カムバックと不在に映る戦略
パリ・ファッションウィーク(PFW)には前年同期より7減の101メゾンが参加。68メゾンがショー、33メゾンがプレゼンテーションを披露する。初参加は3メゾン。このうち南アフリカの「マコサ・アフリカ」がショーを行う。
前回は公式日程を離れた「ヴァレンティノ」と「メゾン・マルジェラ」をはじめ、「サカイ」「カサブランカ」「クリストファー・エスバー」「エスター・マナス」などがショーに戻る。

一方で、「マックイーン」「ジャンバティスタ・ヴァリ」「マリーン・セル」ら著名メゾンの不在も目立つ。参加数の減少をパリの求心力の後退と見るのは早計だろう。むしろ厳しい市況のなかで、メゾンが発表地や時期、形式を、より戦略的に選ぶ動きがカレンダーに表れた。
大きな発信力を持つショーは、メゾンの存在感を一気に高める半面、会場や演出に多額の費用を要する。販売との結び付きを見据え、公式日程外や都市を選ぶ動きも広がっている。復帰と欠席が交差する今季は、各メゾンがPFWに参加する意味をどう捉えているかも見どころとなる。
同時に、PFWが若手にとって重要な場であることは変わらない。仏オートクチュール&モード連盟は、若手支援のショールーム「スフェール」を、パレ・ド・トーキョーで開く。創造性と成長性を基準に選んだ9ブランドを紹介し、「メルエルト・トレゲン」と「ヴィクトリア・ヴァレット」が新たに加わる。
ビッグメゾンが世界の視線を集める一方、次代のブランドを発掘し、市場につなぐというパリの役割にも注目したい。
(松井孝予通信員)
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