布帛の縫製工場がニットに挑む 岡山市のコトブキ被服、横編み機を導入

岡山市の縫製工場、コトブキ被服(浅野裕樹社長)は、既存の縫製技術にとどまらない衣料品の新規事業に積極的だ。カットソー製品のOEM(相手先ブランドによる生産)事業を開始し、無縫製横編み機「ホールガーメント」を導入して自社ブランドを立ち上げるなど、会社の未来図を描こうとしている。
自動化に将来性
創業は1973年。もともとボトムの縫製業としてスタートし、現在は女性用オフィスユニフォームのパンツ、スカートが中心だ。「以前から何か新規事業ができたら」と考えていた浅野社長だったが、日々の業務のなかでタイミングがなく、ファクトリーブランドなどにも興味があったものの、なかなか手が回らない日々が続いていた。
そうした中、転機となったのは23年。息子である浅野晃希専務が入社し、それをきっかけに新規事業を立ち上げた。ホールガーメントを導入したのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)や自動化につながると考えたため。縫製業は多くの人員が必要だが、属人化しないビジネスに将来性を感じた。
24年には心地良さをコンセプトにした布帛、カットソー製品、ニットの自社ブランド「ONE/F」(ワンエフ)を立ち上げた。最近ではカジュアルメーカーからOEMの縫製依頼なども入ってきており、今後カットソーOEMも本格化させていく。
後継者がいても
25年には岡山県倉敷市の美観地区に自社店舗を出した。商品は、カットソー製品やホールガーメント製の靴下、ニット小物が中心。靴下は肌に優しい綿100%でバイカラーが特徴で、5本指(税込み2200円)、先丸(1980円)、足袋型(2200円)の3種類だ。先日はショップ1周年を記念し、セミオーダー会を開いた。定番の15色に加え、季節ごとの配色も出している。


今後は綿以外の素材での商品開発も強化する方針だ。美観地区という土地柄、インバウンドも多いので和紙なども検討中。そのほか、腹巻き付きパンツ、腹巻き、アームカバー、帽子、手袋などニット小物のバリエーションも広げ、卸も増やしたい考えだ。
「既存の縫製の場合、同じものを延々と縫製するが、ニットの方で新しい物を作っているので、いい刺激になっている」という。店舗運営についてもわからないことが多く苦労したというが、「新しいことを始めてよかった」とも。
「後継者がおらず自分の代で会社を閉める経営者が多いが、後継者がいても既存ビジネスだけでは続けられない。布帛、カットソー製品、ニットもできるようになり、これらを組み合わせた物作りも今後は考えたい」と前を見据える。

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