《めてみみ》中山賢一さんの言葉
2026.06.10 06:24
提供:繊研plus

「繊研新聞の記者なら、紙面に載っていることは担当分野でなくても知っているんじゃないんですか?」。記者になりたての頃、小松精練(現小松マテーレ)社長だった故中山賢一さんに言われた言葉だ。
大手合繊メーカーの護送船団方式と呼ばれた織物産地で、自販への道を切り開いた中山さん。大学を卒業して同社に就職後、真っ白な反物の山が工場に入っては、誰かに指示された通りの色が付いて出て行く様を見ながら、「このままでは、いつか仕事がなくなる」と感じたそうだ。
自ら生地を売るために、アパレルメーカーや百貨店、業界中のどこにでも足を運んだ。消化仕入れや掛け率などアパレル業界の商習慣は未知である分、繊研新聞をよく読んだという。「そうやって読者は勉強しているんだから、読んでいない記者は不勉強ですよ」
フランスの見本市プルミエール・ヴィジョンが欧州以外の企業に出展の門戸を開く前、パリに乗り込んだのも早かった。個展を行うホテルを訪ねると、あまりの来客の少なさを嘆きつつも、1人で取材中の記者を気遣い、スタッフの持参したカップ麵をおすそ分けしてくれた。
本日、中山さんのお別れの会が開かれる。情に厚く、言いにくいことも言葉にしてくださる優しさ。広く業界と日本のためを考えた実行力は尊敬するばかりだった。本当にありがとうございました。
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