《めてみみ》島田順子さんのセンスの秘密
2026.06.04 06:24
提供:繊研plus

パリを拠点に活動するデザイナー島田順子さんの生まれ育った千葉・館山の家に伺った。海に近い静かな街の、緑が生い茂る坂の上。島田さんの自由で飾らないセンスを培った秘密があるに違いないと、宝探しの気持ちで訪れた。
初夏の風を感じながら緩やかな坂を登ると、趣のある日本家屋が見えてきた。庭には松や梅をはじめ、様々な木々が生き生きと育ち、緑に埋もれるように島田さんの父が集めたという大きなつぼや灯籠(とうろう)が点在している。遺跡のようでもあり、現代アートのようでもある。ゆっくりとした時間が育てた風情がある。
母屋も畳敷きの純和風。だが、こちらはひと味違ってスパイスが利いている。古い染め付けの大皿や手作りの鳥かごといった和の物とともに、島田さんがパリで買い求めたアーティスティックな椅子やアールデコ調の大きな鏡が同居していて、独特な和洋折衷を形作っていた。
それは一朝一夕では作れない。全く違うテイストであるにもかかわらず、不思議としっくりと調和していた。もちろんセンスが成せる業なのだが、長い時間をかけて醸成した美しさを感じた。
時が織りなすムードというのは、新品にはなかなか醸し出せない。経年変化による魅力だけでなく、長く愛着を持って使うことで、物は美しさを増していく。物を長く大切に着たいという考え方がその一歩になる。
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