「刺青・タトゥーも入浴OK」→トラブル続出、1カ月で再禁止したサウナが話題 運営会社に「迷惑行為の実態」聞いた
刺青・タトゥーをした人物の入浴を解禁したサウナが、わずか1カ月で禁止に戻して話題に。運営会社は「指定外の場所での喫煙、設備の破損、威圧的な言動が見られた」と、事情を説明している。
日本の公衆浴場では、原則的にタトゥー・刺青をした人物の入浴を禁止している。そのためネット上では定期的に、タトゥーを愛好する人物から「日本の考えは古い」という意見が上がり、議論を呼んでいるのだ。
現在X上では、タトゥー・刺青をした人物の入浴を解禁したサウナのたどった道が、大きな話題となっているのをご存知だろうか。
「刺青・タトゥー入浴許可」したサウナ、1カ月後には...
ことの発端は、Xユーザー・mojaさんが投稿した「『タトゥーがあると温泉に入れない』は常識であるが、寂れた温泉が逆転の発想でタトゥーをOKにした。すると客は入れ墨を入れたガラの悪い客ばかりに。たまに入れ墨の無いまともな客がいたかと思えば、体を洗ったタオルを浴槽に突っ込み湯を汚す。客層は落としたらダメという教科書みたいな話」という、タトゥーに関するポスト。
するとこちらを受け、Xユーザーのブティック長嶋さんが、その実例として香川県にあるサウナ「ゴールデンタイム高松」が掲出した張り紙の写真を投稿する。

1枚目の写真には「刺青・タトゥー入浴許可」と大きく書かれ、肩と腕にタトゥーを入れたビーバーのキャラクターが描かれた張り紙が確認できた。
刺青・タトゥーがある旨の申請、および誓約書などが必要となるほか、刺青・タトゥーの有無に関わらず、暴力団や半グレ等の組織に属する人物の入浴は断固拒否する、といった諸々の条件も記されている。

しかし2枚目の写真を見ると、こちらの取り組み開始からわずかひと月後には、様々な迷惑行為が原因となり「刺青・タトゥーを入れたお客様の入浴を固くお断りさせて頂きます」という旨の張り紙を掲出していたことが判明したのだ。
「考えさせられる話」と話題に
一連のポストは瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「これ、ものすごく考えさせられる話だな」「解禁1カ月で再禁止になるほど酷かったのか...」「一度試してみてこれなら、流石に文句は言えないだろう」「素晴らしい社会実験」など、サウナに対する称賛と同情の声が多数上がっている。
一方で、「『概ね殆どの刺青を入れているお客様はルールに従っている』と書いてあるけれど、ごく一部の人の迷惑行為でも自由は失われ、偏見も助長されていく」といった具合に、刺青・タトゥーを入れた良識ある人々に対する同情の声も少なからず確認できた。

そこで今回は、話題となった取り組みとその結末をめぐり、ゴールデンタイム高松を運営する株式会社ワイ・ワイ・カンパニーに話を聞いてみることに。
サウナ運営が語る「迷惑エピソード」に驚き...
今回話題となった張り紙の写真には「6月1日より解禁」「7月20日以降の再禁止」といった文言が確認できるため、これらが「今年掲出されたもの」と認識しているネットユーザーも多いことだろう。
しかし一連の張り紙が掲出されたのは、今から3年前の2023年であることを明記しておきたい。
「刺青・タトゥー入浴許可」を開始した経緯について、ワイ・ワイ・カンパニーの担当者は「2020年以降のコロナ禍においてサウナへの関心が高まり、いわゆるサウナブームが広がる中で、より多くのお客様にサウナ文化を楽しんで頂きたいという思いがありました。当館には以前からアーティストの方々にご利用頂く機会が多く、その中にはタトゥーをされてるいる方も少なくありませんでした。また、関係者の方々がグループで来館されることや、近年増加しているインバウンドのお客様のご利用もあり、多様なお客様の受け入れられる施設作りを検討してまいりました。その結果、一定のルールとマナーを守って頂くことを前提に、許可をすることにいたしました」と、当時の様子を振り返る。
しかし、その取り組みから2カ月も経たず、刺青・タトゥーを入れた人々の入浴は再度禁止となった。
その背景について、担当者は「指定場所以外での喫煙(外気浴など)、施設設備の破損、スタッフ・他のお客様に対する威圧的な言動などが発生し、館内の安全や快適な利用環境の維持に支障をきたす事例が見受けられました。さらに、入館時には誓約書にサインもお願いしていましたが、反社会的勢力との関係が疑われる方の来館事例も確認され、施設運営上のリスクや他のお客様への影響について、より慎重な対応が求められる状況となり、終了させて頂きました」と、説明している。
さらに、入浴を禁止にした後も、刺青・タトゥーを入れた利用客による「驚くべき迷惑行為」が確認できたという。
ここまでマナーが悪いのか...
その内容について、担当者は「入口・館内と『刺青・タトゥー禁止』の掲示を行っていますが、タオル等で隠したり、発見されずに利用できた場合、繰り返し来館される事例も見受けられます。またスタッフによる巡回や確認を行っておりますが、すべてのお客様の状況を100%把握することは現実的に難しく、完全な防止には至っておりません。中には浴槽内にタオルを持ち込み、刺青・タトゥーを隠そうとする行為も確認されています」と説明しており、かなり悪質な内容であることが窺えた。
このような迷惑行為が横行したワケだが、担当者は「マナーを守って入力される方も、もちろんいらっしゃいました」と、刺青・タトゥーを入れた良識ある人々を擁護する。
その上で、「一部のお客様によるルール違反や迷惑行為は、他のお客様の安心・安全な利用環境を損なうだけでなく、スタッフの業務にも大きな影響を及ぼします。施設のルールは多くのお客様に快適にお過ごし頂けるために設けているもので、ご理解とご協力をお願いしております」と、サウナ施設としてのコメントを発していた。
「刺青お断り」オリジナルグッズを販売
そんなゴールデンタイム高松は、高松市中心部の瓦町エリアに位置する男性専用のサウナ・天然温泉・カプセルホテルの複合施設。長年に渡り地域の人々が利用し、近年のサウナブーム以前から高松のサウナ文化を支えてきた存在である。
特にサウナ関連の設備には力を入れており、担当者は「メトスの『IKIサウナ』、セルフロウリュが可能な『ソロサウナ』、薬草を使用した『空海の湯』の3種類を備え、チラーの水風呂(8℃)も設けています。近年はアウフグースイベントやロウリュイベントにも力を入れ、県内外から多くのサウナファンにご来館頂いております」と、アピール。

さらに、オリジナルグッズもたくさん製作しており、中でも注目したいのが同館オリジナルキャラクターであるビーバーちゃんをメインにした「刺青お断り」Tシャツやキーホルダー、ステッカー。

担当者は「施設のルールを真面目に伝えるだけではなく、ユーモアに交えながら発信することで、多くのお客様に関心を持って頂き、話題づくりにも繋がっています。当館には入れないですが、刺青・タトゥーのある方にぜひ着てほしいです。ゴールデンタイム高松らしい個性的な取り組みとしてご好評を頂いており、県外の方にもとても人気です」と、説明している。

結果として「刺青・タトゥー入浴許可」の試みは失敗に終わってしまったゴールデンタイム高松。
しかし「本当に刺青・タトゥーを入れた人々を入浴させてはいけないのだろうか」という疑問に向き合い、いわゆる「世間の声」だけを鵜呑みにせず、実際に導入した上で結論を下している点は、評価されるべきだろう。
また、その経験を元にユニークなグッズを製作するたくましさにも、見習いたいものがある。
執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
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