多部未華子

多部未華子、正直で素直な自然体の姿が見るものを惹きつける【てれびのスキマ】

2025.04.29 07:00
多部未華子

卒園証書は「巻物」

「東京のとある幼稚園にはあっちからもこっちからも可愛らしい忍者がやってきます」

そんな幼稚園に密着したニュース映像がある。そこに映っている人物は誰かと問うクイズが、3月29日に放送された「オールスター感謝祭'25春」(TBS系)で出題された。その人物とは、当時5歳の多部未華子。忍者服を着た幼い多部はなんともキュートだ。

多部は西東京市出身。田無にあった通称「忍者幼稚園」(幼稚園問題研究所)に通っていた。そこでは「忍者修行」という独特なカリキュラムがあり、手裏剣を投げたり、「石になれ!」という号令で石のように固まったりしていた。「和を大事にする幼稚園だった」(「櫻井・有吉THE夜会」2020年4月2日TBS系)という。ちなみに卒園証書も「巻物」だった。

私生活でも1児の母

そんな多部もいまや1児の母。実生活と重なるように、現在「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」(TBS系)で、2歳の娘の育児と家事に奮闘する専業主婦の主人公・村上詩穂を演じている。これまで演じてこなかった役柄。「こういう役をやりたかったと思っていましたし、自分にとって新境地だなと感じました」(「FRaU」2025年3月29日)と意気込んでいる。

奇しくも約5年前のインタビューで「生まれ変わっても女優になりたいですか?」という問いに「次は違うものがいい」と挙げたのが「専業主婦」。「主婦のお仕事は本当に大変、とても尊敬します。マメで器用な人に生まれ変わって、スーパー専業主婦になれたら、楽しそうじゃないですか?」(「GINZA」2020年10月23日)と答えている。

演技の振り幅の広さが魅力

多部が役者を志したのは小学5年生の頃に見たミュージカル「アニー」がきっかけ。13歳の頃、スカウトされてデビューした。2007年、「山田太郎ものがたり」(TBS系)に出演し、話題を集めると、2009年の朝ドラ「つばさ」(NHK総合ほか)のヒロインに抜擢され知名度が飛躍的に上がった。

ひと目見たら忘れられない個性的な顔立ちで、佇まいがどこか可笑しくて表情が愛くるしい。そのヘンテコキュートっぷりがいかんなく発揮されたのが「デカワンコ」(2011年日本テレビ系)だろう。常にゴスロリファッションをしている刑事、「ワンコ」こと花森一子をコミカルに演じた。

やはり彼女の魅力は、こうした漫画チックなキャラクターをキュートに違和感なく演じられること。一方でシリアスな役どころも実在感たっぷりに演じる振り幅も魅力だ。

大学生活での印象的なエピソード

多部は、朝ドラ出演の少し前、大学に進学している。既に役者としての仕事はあったが迷わず決めた。「芸能界以外で友人をつくりたかったし、何より大学で勉強したいことがあった」(「高校生新聞オンライン」2015年4月10日)からだ。

「芸能界では、想像力豊かな尊敬できる大人の方々に出会いました。柔軟な発想ができる、皆さんの思考回路を詳しく知りたくなり、大学で心理学を学ぼう」(同)と考え、東京女子大学現代文化学部コミュニケーション学科に入学。

そんな大学生活で印象的なエピソードがある。それは必修だった「キリスト教学」の授業でのこと。彼女はその授業がとても苦手でレポート提出の際、「先生の言っていることがわかりません」と授業の内容になぜついていけないのか、興味が湧かないのかを用紙の裏表にぎっしり書いた。すると先生から「あなたはすごく正直な人です」というコメントが返ってきたという(「FRaU」2020年10月4日)。

いい意味で割り切ったスタンスが自然体になる

そう、多部は正直で率直だ。「頑張りすぎないというか『私にはこれしかないです』という思い詰め方をしないように」(「クランクイン!」2021年12月17日)というのが仕事のスタンス。「いい意味で『適当さ』を持つというか…。自分は『仕事が一番です』というタイプではない」(同)と。

自分にあまり期待していないから「『どうしてもっと高いところまで行けないんだろう』みたいな気持ちもない」(「就職ジャーナル」2019年9月20日)。だから思い悩むこともほとんどない。そんないい意味で割り切ったスタンスが自然体となり見るものを惹きつけるのだろう。

ところで、冒頭の「オールスター感謝祭'25春」では、もう1問、多部に関する問題が出された。「多部未華子は毎年年越しの瞬間に『??』いる」の空欄を埋めるもの。答えは「踊り狂っている」。テンションが上がりすぎてカウントダウンしながら家族みんなで5分以上踊っているのだという。やっぱりヘンテコキュートだ。

文=てれびのスキマ

1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」

※『月刊ザテレビジョン』2025年6月号

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