コアなファンをも唸らせるHuluオリジナルの実写化ドラマ注目したい高クオリティなタイトルをピックアップ

2025.04.22 18:00

地上波で放送された名作ドラマや見逃し配信作品が数多く公開されているオンライン動画配信サービス「Hulu」。なかには小説やコミックを原作としたHuluでしか観られないオリジナル実写化作品も存在し、コアなファンも唸らせる見応えから大きな反響を得ている。続々と話題作が登場するHulu実写化作品のなかでも、ドラマファンから特に注目を集めたタイトルをピックアップしていく。

国際色豊かなキャストが演じるワインをテーマにした作品「神の雫/Drops of God」

Huluオリジナル「神の雫/Drops of God」は2004年からマンガ週刊誌「モーニング」で連載がスタートしたコミック「神の雫」を実写化した作品。原作はイメージを駆使した独特のワイン表現が人気を博し、全世界シリーズ累計1,500万部(2021年9月時点)以上突破した人気作だ。ワインの世界的権威であるアレクサンドル・レジェが亡くなったタイミングで、彼の弟子にあたる遠峰一青と娘のカミーユが弁護士によって呼び出されたところから物語が始まる。

そこで伝えられたのは、総額160億円にものぼる莫大な遺産を譲るというレジェの遺言だった。しかしこれを受け取るためには、ワインに関する3つのテストに合格することが条件。“ワインに人生を賭けた男”と“ワインに運命を狂わされた女”の2人が、いままたワインに翻弄されていく。

主演の遠峰一青役には海外ドラマ初主演となる山下智久、カミーユ役をフルール・ジェフリエが演じる。カミーユはもともとアルコールが一滴も飲めない体質であったり、一青は家族とのさまざまなしがらみから勝負が危うくなるなど、一筋縄ではいかないストーリー展開も大きな見どころだ。

また同作は原作からの大きな設定改編も注目ポイントの1つ。原作漫画の主人公・神咲雫がフランス人女性に変わり、物語の主軸に遠峰一青を据えている。ただなぞるだけの映像化で終わらない意欲的な改編には、「特に最終回が真骨頂。ここで物語がまた始まったと感じるレベル」「お酒に詳しくなくても、映像がただただ美しい」といったコメントが多く寄せられている。

また同作は国際エミー賞の連続ドラマ部門を受賞。国際的にも高い評価を受けており、原作マンガを知らない層をも強く惹きつけた。言語の壁を超えて撮影に臨んだだけでなく、役作りのために減量を続けたという山下の努力も映像に乗った形だ。

繊細な演出と映像美、キャストの演技、そしてなにより意欲的なストーリー展開が十二分に楽しめる作品となっている。

実写化不可能ともいわれた巧妙なトリックを見事に表現…ミステリーの名作「十角館の殺人」

日本を代表する作家・綾辻行人のデビュー作品であり、「館」シリーズの第一作でもある「十角館の殺人」。読者をその世界に引き込みながらも、たった１行で事件の真相を描くという大胆な手法でその特異性から長らく「実写化不可能」と言われ続けてきた同作は、主演の奥智哉(元ミス研メンバー江南孝明役)と青木崇高(島田潔役)を迎え2024年に実写化された。

本作の舞台は、角島(つのじま)とよばれる孤島にある十角館。その名の通り上から見ると十角形の奇妙な形をした建物だが、実はこれを設計した建築家(中村青司)は奇妙な死を遂げていた。そんな“いわく付き”の場所に、ある大学のミステリー研究会に所属している男女が合宿で訪れる。クセの強いミス研メンバーによる楽しい合宿になるはずが、そのうちのひとりが何者かによって殺害される。一方で、江南のもとには、“死んだはずの建築家・中村青司から告発の手紙“が届く。

角島で殺人犯の正体を暴こうとするミス研メンバー、本土で“死んだ建築家からの手紙”の謎を追う男。複雑に絡み合うストーリーは、物語が進むにつれて混沌が深まるばかり…。

同作が「実写化不可能」と言われてきたのは、緻密に練られた物語が“ある一文”でまるっとひっくり返されるトリックにある。“文章だから成立した”トリックを、映像でどのように表現するのか。原作を知るミステリーファンからの期待も大きく、SNSでは「肝となるあのトリックをどうやって実写で再現したんだろう？」という期待と興味のコメントが多く投げかけられた。

いざ配信がスタートすると、視聴した未読勢はもちろんのこと、原作既読ファンからも、その演出と構成に驚きと納得の声が相次いだ同作。どんでん返しの興奮も、そしてラストの運命的な切ない展開も美しい傑作だ。

大人の生きづらさや葛藤に共感…ビターな恋愛ドラマ「おとなになっても」

4月26日(土)から配信するHuluオリジナル「おとなになっても」もまた、注目すべきタイトルの1つ。本作はおとなの女性同士の恋愛を描いた、志村貴子の同名コミック作品が原作で、主演に山本美月、さらに栗山千明、濱正悟、麻生祐未といった実力派キャストによって実写化される。

主人公の大久保綾乃(山本)は小学校の教員を務める既婚者。そんな彼女は、ある日久しぶりに立ち寄ったダイニングバーで出会った平山朱里(栗山)と互いに惹かれ合っていく。しかし、義両親や職場でのしがらみ、夫との関係など“おとな”であるからこそ自分の気持ちだけ見て正直に生きていくことは難しい。定番のラブストーリーとは一線を画す“生きづらさ”や“人生の難しさ”を克明に描いた複雑な物語は、多くの人が共感し得る作品だ。

マンガの実写ドラマ化にあたっては原作との違いが取り上げられがちだが、公式サイトで公開されている原作者・志村貴子のコメントによれば「原作に忠実に丁寧に作っていただき、絶妙なアレンジを加えていただきました」とのこと。綾乃を演じる山本も「一ファンとして絶対に、世界観を壊さず、実写化する意味のある素敵な作品にしたい」と意気込みを語っており、原作へのリスペクトを持ったアレンジに期待が高まる。

SNSでも「これを観るためにHuluの会員登録をした」「キャラと俳優の見た目がマッチしすぎ…最高」「期待しかない！まずはマンガを買うべきかなあ」といった声も上がっており、すでに注目度は高い。ハッピーエンドへ一直線ではない、オトナにこそ響くビターな恋愛ドラマ「おとなになっても」は全12話が初週のみ1話2話を同時配信、以降は1話ずつ毎週土曜日に配信予定。