小沢仁志

小沢仁志「とにかく楽しむ!」YouTubeを始めて「テレビでも素でいられるようになった」

2024.01.25 10:00
小沢仁志

俳優デビューから40年、唯一無二の存在感を示している小沢仁志。1月25日から公開のアシックスワーキング ショートドラマでは、町工場を営むベテラン職人・正蔵に扮し、寡黙ながらも仕事に向き合う背中を見せている。そんな小沢に俳優という仕事をするうえで大切にしていること聞いた。

61歳で73歳のおじいちゃん役に「俺できるのかな」

――正蔵を演じてみていかがでしたか?

まず73歳のおじいちゃんって書いてあって、俺でできるのかなって思いましたよ(笑)。

――正蔵の真摯に仕事に向き合う職人の姿勢に、外国人がリスペクトするというお話でしたが。

まあニュースでもよくあるよね。外国人が日本の匠の技に見せられて……みたいなのは。でもそういう町工場の技術も、後継者がいないからどんどん手薄になっていく。日本の文化というと大げさかもしれないけれど、仕事としては立派だと思うよね。

――ショートドラマのテーマは「仕事はもっと楽しめる」ですが、小沢さんも40年に渡って俳優業をされていますが、仕事は楽しむものという意識ですか?

楽しまなきゃ、役者なんて仕事やってられないよね。

――でも撮影などは大変なことも多いのではないですか?

俺は全然大変だと思ったことはないね。基本的に非現実的な世界を生きているから。海外で朝から晩までドンパチドンパチ、ドッカンドッカンやっているわけ。スタッフとかはヘロヘロになるけれど、俺は元気。楽しいもん。やっている人間が楽しまなきゃ、観ている人も楽しいわけないだろうし。俺はどんなに大変なことでも楽しむことに関してはスペシャリストだと思う。まあ、一緒にやっている奴らは「二度とやりたくない」って言っている奴らも多いけれどね(笑)。

――なぜ楽しめるのですか?

なんでだろうね。昔から全然寝ないでも平気。撮影は楽しい。まあ、撮影が終わると1週間ぐらい「あしたのジョー」みたいに抜け殻になるけれどね(笑)。

「『スクールウォーズ』観てラグビー始めました」に、「ゴメン、俺ラグビーボール刺して潰していた方だから」

――楽しむというスタンスは、お仕事を始めたときからですか?

そうだね。好きだからこの仕事をやっていたからね。みんな「ギャラがいいんでしょ?」って言われるけれど、思っているほどそんなにすごく良くもないし。お金欲しいなら青年実業家とかそういう方が金は稼げるし、プライベートもあるじゃない。やっぱり好きだからやっているので、楽しまなきゃ損だよね。

――参加した作品が、誰かの人生に影響を与える……みたいなことも俳優の醍醐味ではないでしょうか?

どうなんだろうね。そう思ってもらいたいと感じたことはないよ。作り手のうぬぼれになっちゃうから。

――でも感想をもらえると励みになるということはないですか?

まあね、それはありがたいけれど。でもよく「『スクールウォーズ』観てラグビー始めました」とか声を掛けてもらえるけれど、「ゴメン、俺ラグビーボール刺して潰していた方で、ラグビーやっていないから」ってことだし(笑)。「『ビー・バップ・ハイスクール』観て、ヤンキーになりました」って言われても「良かったな」って言えねえだろう(笑)。まあ、そんな感じなんだよね。でも、芝居が楽しいというか、それをひっくるめてモノを作るという行為が楽しいのかもしれないね。

――映画監督もやられていますよね。

あれは俺がやりたくてやっているわけじゃないんだよね。いまはコンプライアンスってうるせーから、大手では作れないものを作っているだけで。いまや死語になっているかもしれないけれど、Vシネマってあったでしょ。東映がやくざ映画作れなくなったから、Vシネマがやくざ映画のパートを担ったということもあるじゃない?

考古学はロマン!「別に役者にこだわっていない」

――これまで40年間の俳優生活で、やめてしまおうって思ったことは1度もないのですか?

やめちゃおうというか、ほかに楽しいことが見つかったら、未練なくそっちに行くと思うよ。俺は考古学の勉強しているのよ。そっちの道ができたら、別に役者にこだわらず、スパッと行けるぐらいの身軽さはあるよ。

――考古学ですか?

勉強しているの。あとはどこかの大学の客員教授の肩書をもらえればいいなと。

――考古学の魅力はどこにあるのですか?

考古学は究極のエンターテインメントだよ。俺ら映画作っても、「予算全然回収できていません。どうするんですかこの赤字」とか言われるじゃない。でも考古学って、損得じゃないところがあるから。例えばクレオパトラって史実には残っているけれど、銅像も壁画もない。見つけるために世界中の人が、いろいろなところを調査しても、見つからないことがほとんど。でもそれで「どうすんだ、費やした予算は!」なんてことにはならず「しょうがないよな」ってなるでしょ。逆に見つかったとしても、お金出した人の元にはいかず、博物館に行っちゃう。まさに名誉だけ。それって究極のエンターテインメントだしロマンだよね。

――そんな野望も?

まずは客員教授の名刺を持って、バミューダ海域のスペインの財宝だよね。1発当てればニュースになる。スポンサー来るから(笑)。

――好奇心は尽きないのですね。

それが楽しいじゃない。でも言っているだけじゃなく、現実にするにはどうしたらいいかを考えている時間も楽しい。その方が生きていても楽しいでしょ。

YouTubeをやって自然体でテレビにも出るようになった

――YouTubeをやられているのも、面白いことをしよう……という思いで?

あ、あれは適当(笑)。ただ飲んで、街で中華食ってってやっているだけ。ひどいときなんて、俺の高校の野球部の同級生と喫茶店で同窓会しているなんて動画もあるからね。「誰も知っている奴いねーのに大丈夫なの?」って思っているものに限って、スゲー再生されたりするんだよね。びっくりだよ。

――とても面白いです。

YouTubeって、地上波のテレビのバラエティー出ているよりも素でやれるんだよね。若い時は特に「俺は役者だから」みたいな縛りがどうしても自分のなかにあったんだけれど、YouTubeやるようになってから、自然体でいいのかなって思えるようになって。テレビでも結構自然体で出られるようにはなったね。

――いまはあまりこだわりを持たないようになってきたのですか?

若いときは、こだわることにはスゲーこだわっていたし、突っ張っているところも突っ張っていたよ。でも年と共に1個ずつ荷物を捨て始めているから。余計なものが面倒くせーって思うようになってきたんだよね。若いころなら絶対やらねーような仕事も「まあ、別にいいか」って思えるようになってきたね。身軽でいたいというか、自由でいたい。例えば役者辞めて、考古学者になって食えなくても、なんか食える道探すだろうし。

――そんな中で、仕事に対して絶対譲れないものはありますか?

同じになるけれど、やっぱり楽しむことだよね。自分が楽しめない仕事は、出来上がりもひどいから。そんなの見たら、やっぱり自分が一番嫌になるよね。だから、どうも馬が合わねーなとか、こいつとじゃダメだなとか思ったら、仕事は受けない。まあ、そんな人たちはみんな先に行っちゃたからもういないけれどね(笑)。いまは昔と違って、監督も若くなってきているし、みんなスマートだよね。ちょっと物足りねーけれど、こういう時代だからいいんじゃないかな。

――最後に仕事に向かうためのルーティンはありますか?

半身浴するね。リラックスするから。家を出る2時間ぐらい前から半身浴して代謝を良くする。それですっぽんぽんになってベランダでタバコ吸って、汗が引いてから……そんな感じかな。

(取材・文:磯部正和)

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