ABEMAのMLB中継を盛り上げる「ABEMA BASEBALL SPECIAL SUPPORTER」に就任した川崎宗則氏

川崎宗則が語る WBCにおけるイチローとダルビッシュ“リーダー像”の違い「イチローさんは背中で引っ張るリーダー」

2023.04.21 18:00
ABEMAのMLB中継を盛り上げる「ABEMA BASEBALL SPECIAL SUPPORTER」に就任した川崎宗則氏

今シーズン、メジャーリーグベースボール(以下、MLB)の公式戦324試合を生中継するABEMAを盛り上げる「ABEMA BASEBALL SPECIAL SUPPORTER」に就任した川崎宗則氏。「WORLD BASEBALL CLASSIC 2023」(以下、WBC)に向けて開催された「侍ジャパン強化試合」(以下、WBC強化試合)では、西岡剛氏との砕けた雰囲気のW解説も話題になったが、「野球を知らない視聴者の方々にもわかるようにざっくばらんなノリで解説できれば」と意気込みを語る。また、今回のWBC日本代表優勝の要因については、若手選手と積極的にコミュニケーションを取り、「野球ぐらいで落ち込む必要はない」と呼びかけたダルビッシュ有選手の功績を讃えた川崎氏。自身が出場した2006、2009年大会ではイチロー(鈴木一朗)氏が、今大会のダルビッシュ選手のようなプレイングマネージャー的な立場だったとした上で、「イチローさんは先頭で闘うタイプのリーダー」と振り返った。※川崎宗則氏の「崎」は、たつさきが正式。

WBC出場が子供たちの夢にもなっている

――この度は「ABEMA BASEBALL SPECIAL SUPPORTER」への就任、おめでとうございます。まずは初仕事として3月31日に行われる大谷翔平選手が所属するロサンゼルス・エンゼルスの開幕戦の解説を、同じくスペシャルサポーターの西岡剛さんと務めるとのことですが、お二人のABEMAでの解説は3月6日に行われたWBC強化試合でも話題になっていましたよね(※インタビューは3月30日に実施)。

川崎:ありがとうございます。WBC強化試合の時は、プライベートでも仲の良い西岡剛さんと一緒だったこともあり、本当にやりやすくて、良い解説ができたのではないかと思います。砕けた感じでやらせてもらったにもかかわらず、それでもまた今回、スペシャルサポーターに就任させていただいたということは、ABEMAの偉い方の怒りがちょっとは収まったのかなと思います(笑)。

――いやいや、誰も怒っていないと思いますよ(笑)。

川崎:良かった(笑)。引き続き、野球を知らない視聴者の方々にもわかるようにざっくばらんなノリで解説できればと思います。とはいえ、野球が好きな方からすると、ちょっとうるさいかもしれませんが(笑)。

――ABEMAでは、MLBレギュラーシーズンの公式戦324試合を生中継していますが、これについてどう思いますか?

川崎:いや、すごいことですよね。一昔前までメジャーリーグ中継といえば、地上波などで日本人選手の所属チームの試合しか放送されていないものだったのに。現在日本でも、WBC効果でたくさんの人がメジャーに興味を持ってくれていると思うので、スペシャルサポーターとしてその魅力を伝えていきたいです。

――WBCのお話が出ましたが、第五回目となった今大会の盛り上がりについて、川崎さんはどう見ていたのか教えてください。

川崎:大谷(翔平)選手やダルビッシュ(有)選手をはじめとした現役メジャーリーグの選手と、日本の素晴らしい選手たちが快く出場してくれたおかげで、3月は日本中が野球に注目していたのではないか思うほどの熱気でしたよね。僕も2006年、2009年のWBCに出場していますけど、当時はできたばかりの大会ということもあって、多くの人が「どういう大会なんだろう?」という気持ちで見ていた気がします。だけど、今回はみんなが知っている大会として多くのメディアが積極的に取り上げてくれたおかげもあり、それ以上の盛り上がりになったという印象があります。

――実際に、WBCというものが世間に今ほど認知されていなかった2006年の第一回大会の時は、選手としてどんな心持で臨んだのでしょうか?

川崎:当然ながら僕らが子どもの頃にはWBCはなく、そこを目指してプレーしたことはなかったので、当時の王(貞治)監督から声をかけていただき、初開催の大会に参加することが決まった時、最初は不思議な感覚でしたよ。でも、アメリカへ行ってやればやるほど、特に決勝のキューバ戦ではものすごい盛り上がりでしたし、終わってみて「やって良かったな」という気持ちになりました。

――川崎さんはWBCだけでなく、2008年の北京五輪にも出場されていまよね。国際大会へのこだわりなどはあったのでしょうか?

川崎:いや、こだわってはいないです。その時々でチームを率いる監督からお話をいただき、出たかったら出て、そうでなければ出ないだけなので。僕は、日本代表への思い入れは基本的にはありません。日本代表を目指して野球選手になったわけではなく、もともと「プロ野球選手になりたい」と卒業文集に書いてたので。でも今の子どもたちは違いますよね。「WBCに出たい」と卒業文集に書いている子もいる。その夢を叶えるために出場を目指すべきだと思いますけど、当時の僕にとって夢ではなかった。僕は、自分の意思を尊重し「このボスのもとだったら野球ができる」と判断したら出場するだけ、「川崎が必要だ」とお話をいただいたら行くだけなんです。結局、野球選手は一人ひとりが社長なので。みんな自分で決める権利があるから、嫌だったら辞退してもいい。それも正解だと思います。

ダルビッシュ選手のメッセージが日本代表にとって大きな力に

――なるほど。では、改めて今回のWBCでの日本代表優勝の要因は何なのか、川崎さんのご意見を聞かせていただければと思います。

川崎:栗山(英樹)監督がダルビッシュ選手やヌートバー選手、大谷選手など、メジャーリーグの選手たちを呼んできてくれたこともそうですし、それに何といっても、ダルビッシュ選手が宮崎のキャンプの時から若い選手としっかりコミュニケーションをとったり、「野球ぐらいで落ち込む必要はない」とメッセージを発信したりしたことが大きかったように思います。「野球ぐらいで…」という考え方は本当にそうなんですよ。所詮、野球なんです。野球というスポーツは戦争でもないし、喧嘩でもない。国を背負うと意識する必要すらないんです。それを意識すると、野球ではなくなると思います。野球はプレイボールからスタートする。「ボールで遊べ」と始まっているのに、「プレイ(トゥ)ウィン」と言われたら、誰も野球なんかしません。だって勝ちなんて見えないんだから。勝ち負けなんて所詮、ルールが決めるだけのことですから。

――あれだけ注目度の高い試合に出場するとどうしても気負ってしまうから、どこかで「野球ぐらいで落ち込む必要はない」と割り切ることも大切だと。

川崎:そう。そこをダルビッシュ選手がほぐしてくれましたよね。大谷選手が「絶対に勝ちたい」という気持ちを見せる一方で、ダルビッシュ選手が「野球ぐらいで落ち込む必要はない」と言ってくれたおかげで、バランスが取れていたように思います。どちらが欠けてもダメだったのではないでしょうか。

――お話に出たように、今大会ではダルビッシュ選手がプレイングマネージャー的な立場を務めましたが、川崎さんが出場された2006、2009年大会時、そのポジションを担ったのは、やはりイチローさんだったのでしょうか?

川崎:そうですね。やっぱり、イチローさんがそういった立場でキャンプから参加してみんなを喜ばせてくれました。僕らもイチローさんと一緒に練習したことで、合宿期間から非常に良い関係を築くことができたと思います。

タイプが全く違うダルビッシュとイチロー

――では、ダルビッシュ選手とイチローさんの“リーダー像”には、それぞれどんな特徴があると思いますか?

川崎:イチローさんは、言葉でどうこうということよりも、プレーと練習する姿勢で示してくれる「背中で引っ張るリーダー」。(いい意味で)先頭で闘うタイプのリーダーでいてくださったから、その姿が昭和生まれの僕らには刺さった気がします。何か言われるよりも、プレーで見せてくれる姿に助かっていました。一方のダルビッシュ選手は今回、若い選手たちとよくコミュニケーションを取り、何回も集まったりしてみんなをサポートしながらリラックスさせていましたよね。だから、リーダーとして二人とも素晴らしいですけど、それぞれ全くタイプが違います。

――ダルビッシュ選手は、イマドキの若者に合わせた接し方をしていたんですかね。

川崎:というより、ダルビッシュ選手は「野球を苦しくやってほしくない」という考え方だったと思います。それと、ダルビッシュ選手は若い選手と対話する中で、10年以上アメリカで学んできたことを彼らと共有し、彼らの反応を見て自分も勉強したかったのかなと。もしかしたら、それがダルビッシュ選手の一番の目的だったのかもしれません。

――また、メジャーリーグの話に戻るのですが、今シーズンのMLBにおいて川崎さんが注目しているポイントはどんなところですか。

個人的に、今シーズンから導入されるピッチクロックにはとても興味があります。試合が早く終わる可能性が高くなるので、解説する側としてはすごく助かりますし(笑)。また、野手目線で考えると、守備面でも有難いでしょうね。守ってる側からすると、ピッチャーにあまり長い時間をかけて投げられても…というのもありますから。

※ピッチクロックとは:投手はボールを受け取ってから、走者のいない場合は15秒以内、走者のいる場合は20秒以内に投球動作に入らなくてはいけない新ルール。打者も、残り8秒までに打席に入って構えなくてはならない。

――やはり、打者有利に?

いや、そうとも限らないと思います。たしかに、ピッチクロックを意識することで投球のリズムが狂うピッチャーもいるかもしれませんが、バッターも制限時間残り8秒の時点で構えていなければいけないので、どちらが不利とかはないと思います。

注目はルーキーイヤーを迎える日本人3選手

――それでは、注目の選手は誰なのかも教えていただければと思います。

川崎:今季メジャーでのルーキーイヤーを迎える、吉田正尚選手(レッドソックス)、藤浪晋太郎選手(アスレチックス)、千賀滉大選手(メッツ)ですね。

――たしかに、どれくらいの成績を残せるか気になりますよね。

川崎:成績というよりも、これまで日本でずっとやってきていた選手たちがアメリカに行くと、新しいおもちゃを買ってもらった子どものように楽しいはずなんですよ。アメリカは、野球のルール以外、練習のスタイルもメディア対応の仕方も日本とは明らかに違う。そういった異文化に触れて、アメリカの野球の匂いを感じて楽しんでくれるだけで僕はうれしいんです。結果なんか全然気になりません。

――最後に、MLB中継を楽しむ視聴者に向けてメッセージをお願いします!

川崎:本当に楽しくリラックスして見てほしいなと思います。日本の野球は「勝たなきゃいけない」という考えを感じる面もあるかもしれませんが、メジャーは自由なんです。この自由感があるからこそ、プレイヤーはフィールド上で激しいプレーを見せられるんですよ。そんなふうにスポーツは自由であり、そしてエンタメであるということをABEMAの中継を通して伝えていきたいです。解説も僕や(西岡)剛が担当することもあるため、かなり自由なものになるはずなので、朝からウザいかもしれませんが、ぜひ楽しみにしていてください!(笑)

※川崎宗則氏の「崎」は、たつさきが正式。

取材・文/写真=小島浩平

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