＜綾瀬はるか＞ピュアで真っすぐ…意志の固さを感じる演技で長年最前線を走り続ける“愛され女優”

2022.11.18 18:00

マーベル作品や「スター・ウォーズ」シリーズをはじめ、アニメ、韓国ドラマなど、幅広いジャンルのコンテンツを配信しているディズニープラスのコンテンツブランド「スター」。この秋からTBSの人気ドラマの配信が続々とスタートしており、新垣結衣と星野源が共演した「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年)と新春スペシャル(2021年)、星野が綾野剛とタッグを組んだ刑事ドラマ「MIU404」(2020年)、「逃げ恥」「MIU404」の脚本を手掛けた野木亜紀子による石原さとみ主演の「アンナチュラル」などが配信中だ。同じくこの秋に配信がスタートした名作ドラマ「JIN-仁-」(2009年)、「JIN-仁-完結編」(2011年)などで、印象的な演技を披露した綾瀬はるかについて紹介する。

“セカチュー”で大ブレーク

1985年3月24日生まれの綾瀬は、2000年に「第25回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞し、それをきっかけに芸能界入り。2001年に「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)でドラマデビューし、翌2002年には草なぎ剛主演のドラマ「僕の生きる道」(フジテレビ系)に出演し、歌手になることを夢見る真面目な生徒役がハマり役に。綾瀬自身のピュアで真っすぐな性格と役柄が重なる部分も多く、注目度もアップした。2004年にドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」(TBS系)のヒロインに抜てきされ、ポジションを確立。2005年には「第47回日本レコード大賞」の司会も経験している。その後も「白夜行」(2005年、TBS系)、「ホタルノヒカリ」(2007年、日本テレビ系)、「鹿男あをによし」(2008年、フジテレビ系)などで重要な役を務め、2009年の「JIN-仁-」でも印象に残る演技を見せた。

「JIN-仁-」は、村上もとかの同名コミックを映像化したもので、脳外科医・南方仁(大沢たかお)が幕末の江戸にタイムスリップし、現代から持ち込んだ医療の知識と技術で人々の命を救いつつも、歴史が変わってしまうことへの葛藤と苦悩が描かれている。

おっとりしつつ…意志の固いお嬢様を好演

綾瀬が演じたのは、旗本“橘家”の娘・咲。江戸にタイムスリップした南方は浪人たちに襲われ、南方をかばった橘恭太郎(小出恵介)が頭部に重傷を負ってしまう。そのまま命を失ってしまうところを現代の医療技術で命を救ったことで、橘家に居候することとなった。その恭太郎の妹が咲で、武家のお嬢様ということでおっとりとした雰囲気をしているが、意志が固いしっかり者の一面を持っている。南方に興味を持ち、積極的に医療に関わり、看護師的な役割で南方をサポートしていく。

ドラマ版は原作よりも恋愛要素を多く取り入れていて、原作には登場しないオリジナルキャラクターとして現代での南方の婚約者・未来(中谷美紀)が登場している。江戸・吉原の花魁・野風(中谷、2役)が未来と瓜二つで、南方は未来が野風の子孫だと考え、常に野風のことを考えてしまうが、咲は南方の思いを知りながらも献身的に尽くしている。周りの人たちは咲が南方に思いを寄せていることが分かっているが、南方は鈍感でしばらくの間気付くことがなかった。

一生懸命で直向きな女性。年齢は16歳ということで少女っぽさもありながら、どんなことも受け止める大らかさがあって、ツラい場面でも笑顔で周りを明るくし、逆に年齢が上の南方の背中を押すような“母性”も持ち合わせている。

最初のシーズンは、最終回の平均視聴率25.3%(瞬間最高視聴率は29.8%)を記録し、2009年度の連続ドラマの最高視聴率を獲得。ギャラクシー賞、橋田賞など30以上の賞を受賞し、名作であることをしっかりと示した。2年後を描いた「JIN-仁-完結編」では、咲はさらに成長し、医者としての南方にますます欠かせない存在になっていた。完結編は前作からの期待の高さもあって、世界80カ国で放送された。こちらも最終回の平均視聴率が26.1%、瞬間最高視聴率が31.7%を記録し、前作以上のヒットとなっている。

大河ドラマ「八重の桜」(2013年、NHK総合ほか)、大河ファンタジー「精霊の守り人」(NHK総合ほか)シリーズ、「義母と娘のブルース」(TBS系)など、その後の活躍ぶりは枚挙に暇がないほど。

また、今回の配信ラインアップの中に、他にも綾瀬が出演している作品がある。一つは妻夫木聡主演のドラマ「ブラックジャックによろしく」。綾瀬は看護師・椿理沙子役で出演。「JIN-仁-」の咲とは違うが、医療に関わる役ということで未見の方にはぜひチェックしてもらいたい。

もう一つが2008年に放送された佐藤隆太主演の「ROOKIES」。「JIN-仁-」放送の1年半前のドラマで、このあたりでは「僕の彼女はサイボーグ」「ICHI」「おっぱいバレー」など、映画でも主演を務めることが多くなっており、俳優としての実力・魅力が広く知られる時期の作品でもあった。演じた役は御子柴徹の姉・響子という役で、ここでも小出ときょうだいを演じている。主人公・川藤幸一役の佐藤隆太、平塚平役の桐谷健太も「JIN-仁-」で共演しているので、そういった共演者とのつながりが見られるところも興味深い。

どんどん演技の幅を広げ、いろんなタイプの役柄を演じている綾瀬だが、ピュアで真っすぐ、意志の固さというところは変わらず、いろんな作品から感じられるそれらが役者としての綾瀬の魅力となっているのではないだろうか。

◆文＝田中隆信

※記事内の視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区