森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)

森七菜、ワンマンライブ完走で涙「誰にも邪魔されない、私たちだけの信頼関係を作れたら」<ライブレポ/セットリスト>

2022.09.30 13:17

女優で歌手としても活躍する森七菜が、21歳の誕生日にリリースされた初のフルアルバム『アルバム』を携えて、地元・大分からスタートした初ワンマンライブ『もりななLIVE 2022 「㐂~よろこび~」』が、9月27日の東京公演・池袋harevutaiにてファイナルを迎えた。


森七菜、ワンマンライブ完走

森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)
森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)
彼女は21歳の誕生日である8月31日に待望の1stアルバム『アルバム』をリリースし、9月24日には2年8ヶ月ぶりとなる地元・大分での凱旋公演を成功させたばかり。

アルバムでは楽曲制作依頼をするアーティストを自らアイデアを出すなど、音楽活動を積極的に楽しんでいたが、今回もライブタイトル考案やライブグッズへの描き下ろしイラスト提供など、彼女のアイデアが豊富に散りばめられており、「アーティスト・森七菜」らしさが凝縮された特別な空間が提供された。

森七菜、ステージ上で変幻自在

森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)
森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)
ミラーボールが煌びやかな灯りを振りまく会場内に牧歌的なSEが流れ始めると、今回のライブをサポートする4人のバンドメンバーが登場。続いて、オレンジ色のTシャツにジーンズ姿の森がステージに姿を現すと、彼女のまっすぐで透明感の強い歌声が印象的な「背伸び」からライブはスタートした。冒頭こそ若干の緊張を伴ったが、場内の照明が少しずつ明るくなり観客の顔が見え始めると、森は安心とともに笑顔を浮かべつつ、伸びやかなボーカルを響かせる。

続く代表曲「スマイル」では「ようこそ、皆さん!元気ですか?よろしくお願いします!」を合図に、会場の雰囲気が一変。それまでのじっくり森の歌に耳を傾ける姿勢から、ステージ上を元気に飛び跳ねる彼女に引っ張られるように、柔らかで多幸感に満ちた空気が充満していく。森はまるでオーディエンス1人ひとりとアイコンタクトをとるかのように、フロアに笑顔を振り撒き続けた。

最初のMCでは「これだけたくさんの皆さんに集まってもらえて、すごく嬉しいです。一度、大分のほうで1公演してきたんですけど、東京でこんな規模で(ライブを)するのはもちろん初めてなので、少し緊張しています」と本音を漏らす一幕もあったが、以降は「君の彼女」「ロバとギターときみとぼく」といった『アルバム』収録の新曲を立て続けに披露。LEDスクリーンがステージ壁面に設置されたharevutaiの特徴を活かし、曲中では映像演出も用意され、特に「ロバとギターときみとぼく」では森自身が描いたロバのイラストも登場した。

緩やかな楽曲が続く中、シリアスな空気を放つピアノソロで再び場の空気が変化。そのまま「深海」へと突入すると、森のひたむきさが伝わる歌声がこの曲の持つエモーショナルさをさらに加速させてく。機敏な感情の変化が求められるこの曲を堂々と歌い切ったことからも、シンガーとしての成長がダイレクトに伝わったことだろう。

森七菜、個性豊かな声色響かせる


森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)
森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)
公演中、森は「皆さんに支えてもらってばかりなので、今日はその恩返しができたらと思っています」と発言したが、その感謝の思いがライブタイトルの「㐂~よろこび~」にも表れていると誰もが思ったことだろう。

そんな「㐂~よろこび~」を分かち合う今回のライブでは『アルバム』収録曲以外にも、ここでしか聴くことのできないカバー曲を複数用意。そのひとつが、彼女も出演した岩井俊二監督の映画『ラストレター』制作時、彼女が岩井監督にカラオケで聞かせたという森田童子「僕たちの失敗」だ。このカラオケをきっかけに、森は「カエルノウタ」でデビューすることになるのだが、この日はピアノ伴奏のみで切々と歌い、楽曲の持つ繊細さと彼女のピュアな歌声が相乗効果を生み出し、会場を優しい空気で見事に包み込んだ。

その後のMCでは和気藹々としたトークが続く。「こんなことじゃ盛り上がらないだろう」セリフを“よろこび”に変えていく煽りコーナーでは、オーディエンスから彼女に言ってほしいセリフを募り、「森ハチです!」「落胆した!」「みんな、まだ全然盛り上がってないじゃん!」などをバンドメンバーのかき回し演奏とともに客席に放っていく。

「このコーナー、私が一番気持ちいいんです!(笑)」と笑顔を見せる森は、その後もチルアウトナンバー「Lovlog」、大切なデビュー曲「カエルノウタ」、バンド編成だからこそのアレンジが印象的なオルタナギターロックチューン「かたつむり」と、緩急に富んだ選曲で観る者を魅了し続けた。

森七菜、ワンマンライブ完走で涙

そして、本編最後のMCでは「このまま誰にも邪魔されない、私たちだけの信頼関係を作れたらと思っています。皆さんが私のことを好きでいてくれたり、ここに来る熱量を持っていてくれたりする限りは、私もすごく楽しんでもらえるようなものを、毎日作れるようにと頑張ってます!今日はいろんなものを飛び越えて、ここまで来てくれてありがとうってことが言いたくて、私もここにやってきました。皆さんと過ごせて本当に楽しかったです」と伝えながら涙を浮かべる一幕も。

しかし、その後は再びオーディエンスとコミュニケーションを図りながら、TikTokでも盛り上がりを見せている「愛のしるし」、サビで一斉にタオル回しをする「bye-bye myself」で明るく元気にライブ本編を締めくくった。

アンコールではバンドメンバーとともにグッズTシャツに着替えた森が、思い出の1曲である植村花菜「猪名川」をカバー。彼女の繊細な歌声を活かしつつ、アコースティック色の強いアレンジが施されたこの曲は、初めて聴いた多くのファンにも好意的に受け入れられた。

さらに、別のカバー曲として広瀬香美の名曲「ロマンスの神様」もセットリストに組み込まれ、ファンとの交流を深めつつ元気いっぱいに歌い上げる。そして、最後にもう一度「スマイル」を歌唱し、会場の一体感を最高潮にまで引き上げたところでライブは幕を下ろした。

森七菜、TikTok撮影でファンと交流

森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)
森七菜/photo:後藤壮太郎(提供写真)
すべての楽曲を披露し終えたあとには、TikTok向けに森と観客がひとつになってウェーブする動画も撮影。そして、「これから私は今日のことを糧に毎日頑張っていけるので、皆さんもぜひ私と過ごした時間を糧に…皆さんがただがむしゃらでものんびりでも、幸せな日々をこれから過ごせたらいいなと思います。幸せなことだけが皆さんの周りに起きますように、そしてまたスマイルで再会できることを祈っています」と挨拶して彼女はステージをあとにした。

2020年1月のアーティストデビュー以降、リリースを重ねるごとに成長を続ける森。1stアルバム『アルバム』リリースと大分&東京でのワンマンライブ開催は、彼女にとって大きな自信につながったことだろう。だからこそ、ここから「アーティスト森七菜」がどんな進化を遂げるのか注目だ。(modelpress編集部)

セットリスト

M-1:背伸び
M-2:スマイル
M-3:君の彼女
M-4:ロバとギターときみとぼく
M-5:深海
M-6:僕たちの失敗(カバー/森田童子)
M-7:Lovlog
M-8:カエルノウタ
M-9:かたつむり
M-10:愛のしるし
M-11:bye-bye myself
アンコール
M-12:猪名川(カバー/植村花菜)
M-13:ロマンスの神様(カバー/広瀬香美)
M-14:スマイル
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