宇野昌磨、GPシリーズの目標は“自己満足” 過去シーズンの心境吐露「辛い部分もあった」
2023.10.08 13:50
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フィギュアスケート選手の宇野昌磨、坂本花織が8日、都内で開催された「フィギュアスケートグランプリシリーズ2023」記者会見に出席。GPシリーズへの意気込みを語った。
荒川静香、坂本花織選手を絶賛
選手たちは、アメリカ、カナダ、フランス、中国、フィンランド、日本での大会を経てグランプリファイナルが開催される「フィギュアスケートグランプリシリーズ2023」のテーマを発表することに。世界選手権の女王として臨む坂本選手は「自然体」を挙げ、昨シーズンは自分らしさを見失ってしまったことがあったと回想。「自分は何に向かって頑張っているんだろう?っていう感じの気持ちになってしまって。とにかく、世界選手権には出たいし全日本も優勝したいっていう気持ちもあって。けど気持ちと体があまり同じレベルに達していなくて、すごく苦しかったので。今年は今この時点で、昨日のジャパンオープンも含めて、だいぶシーズン序盤にしては調子は上がってはきているので。このまま自分らしくっていうのを忘れずにやっていけたらなと思ってます」と意気込みを語った。荒川静香から「昨日、シーズン序盤であんなに仕上がっていると思わなかったので、びっくりしました!」とパフォーマンスを称賛されると、坂本選手は「すごく嬉しいです。これをどんどん、シーズン後半に向けていいものにしていけるようにしたいです」と笑顔を見せた。
宇野昌磨、シビアな自己評価明かす
同じく世界選手権の覇者として臨む宇野選手は「自己満足」とし「この2年間、本当に自分が思っていた以上の結果を出すことができました。結果には本当に満足していますけれども、どうしても自分の演技っていうものに関しては、なかなか満足できるものというか、もう一度見たいと思えるような演技をしてこれてないっていうのが僕の感想なので」とシビアに自己評価。その理由として「ジャンプが中心のプログラムになってしまっている。そういうところから日々の練習のやりがいだったり、試合が終わった後の自分の演技に対しての感想っていうのが、ジャンプが飛べたか飛べなかったか、それだけになってしまっているっていうのが、シーズン後半辛い部分もあったので。このシーズンオフにいろんなアイスショーに出て、自分にとってスケートっていうものが、何がやりがいが持てるのか、自分が満足できるのかっていうことを考えた先に、表現力っていうところを今年は頑張っていきたいなという思いを込めて、こういう言葉を書かせていただきました」と語った。続けて「ジャンプを頑張ることが、正直競技の順位・点数っていうものを求めるにあたって、一番必要なことだと思っているので、この2年ジャンプを頑張りましたが、書いてある通りに、ここからは自己満足のために、自分の表現力っていうものを頑張っていきたいなと思っています」とも話していた。
宇野昌磨、イリア・マリニン選手に期待
この日は各国の選手のインタビューも上映され、坂本選手は韓国のイ・ヘイン選手に関して「去年の世界選手権で実際に一緒に戦って。ヘインちゃんの底力というのを、直接影響を受けたというか、すごく刺激になったので。今年もこうやって戦えるのはすごく楽しみです」と笑顔。アメリカのイリア・マリニン選手について、宇野選手は「まだまだ若いので。いずれどんどんトップに上り詰める選手になるって僕は思っていますし。彼も割とジャンプが有名ですけれども、ここから表現力を頑張るっていうのは、彼にとってもすごくいい、フォーカスする部分だと思いますし。彼はジャンプということに関しては完璧に近いほどの成功率、そしてクオリティでこなせているので、そこでジャンプに逆にこだわらずに表現力を頑張るっていうのは、より脅威になる選手だなと思います」と絶賛し期待を寄せていた。また、今季のプログラムがどのように自己の満足度を高めるのか尋ねられると、宇野選手は「ショートプログラムは、ステファン・ランビエールコーチの振り付けで。毎年すごく挑戦的と言いますか。自分にとってちょっと難しいなって思える振り付け・プログラム・音楽を選ばれることが多く。それは今年も同様ですけれども、例年に比べると、僕のやりやすい部分っていうのがちょっと前に出たプログラムになっているので。今年は例年よりもクオリティの高いショートプログラムがお見せできるんじゃないかなと思います」とコメントした。
宮本賢二氏が振り付けを手掛けるフリープログラムについては「初めから自分の体に馴染むようなプログラムをいつも作っていただくんですけど。今年はそれがまたちょっと挑戦的なフリープログラムになっていて。そして自分の意識的にも、ジャンプを飛ぶ前ギリギリまで表現することだったり、体力をフリープログラム全体でペース配分するのではなくて、前半で使い切るつもりで日々練習しています。まだまだできないところもありますけれども、これを1シーズン通して、自分が感動するようなフリープログラムにできたらなと思っています」と話した。
坂本選手は現在の課題について聞かれると「映像を見返す限り、どうしても頭の中がジャンプのことでいっぱいになってしまうので、それ以外の表現力の部分で、もうちょっとこう動けたらいいのになっていうのがすごくたくさんあって」と発言。「それを直すために、最近は日頃からずっとプログラムを撮ってもらったりして、もうちょっと表現力の部分をよくしたいなって思って。特にそう思うのはステップの部分で。どうしても、息を整えるために上半身の動きがちっちゃくなってしまうので。そこをもっと改善していけたらなって思っているので、今後は重点的に直していけたらと思います」と自己分析していた。
宇野昌磨、GPシリーズに意気込み
その後の質疑応答で、小学生の記者から、いいパフォーマンスができなかった際の気持ちの切り替えについて聞かれた坂本選手は「その日は思う存分泣いて、悪いものを全部出し切って、次の日朝起きたときに、『まあこんなこともあったな』っていう感じで。一過程としてとらえて」と返答。そして「もうここまで落ちたんだったら、後は上がるだけだと思って、気持ちを切り替えて。むしろ開き直って、次に向けて。あとはやるだけ。自分のすべきことを全部やって次の試合に挑もうみたいな気持ちでやっているので。その気持ちの切り替えは、上手くいけばその次の試合もすごく上手くいくことが多いので。そんな感じでやっています」と明かしていた。改めてグランプリファイナルへの思いを問われた坂本選手は「シニアに上がってから、多分唯一メダルがないのがファイナルかなと。グランプリシリーズ2戦を戦ってファイナルに出て。今年こそはメダルを取りたいと思っているので。その前段階としてグランプリ2戦をしっかり戦い抜きたいので、一試合一試合集中して。自分のベストな演技ができたら結果もついてくると思うので、精一杯頑張りたいと思います」と語った。
最後に選手を代表してマイクを握った宇野選手は「またこうしてグランプリシリーズに出ることができ、とても嬉しく思いますし、ここにいる選手みんなが日々成長し、毎年毎年より成長した自分を、まだシーズン序盤のグランプリシリーズに、自分たちが今シーズンどんな風にシーズンを迎えて、どんなシーズンにするのかっていうのが、すごく明確になる試合だなって思っています。グランプリファイナルに出るという道のりは、すごく茨の道ではありますけれども、だからこそファイナルに出て、そしていい結果を出せたときの嬉しさっていうのは、他にならないものかなと思っているので、皆さん全力で頑張ります。応援よろしくお願いします」と話していた。
この日は宇野選手、坂本選手のほか、山本草太、鍵山優真、樋口新葉、三浦璃来、木原龍一、松岡修造、荒川、町田樹も出席していた。(modelpress編集部)
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