清原果耶(提供写真)

清原果耶、初舞台「ジャンヌ・ダルク」主演決定 小関裕太らオールキャスト発表

2023.07.21 04:00

女優の清原果耶が、11月より上演される舞台『ジャンヌ・ダルク』で主演を務めることが決定。本作は清原にとって初舞台。オールキャストが発表された。

  

ジャンヌ・ダルクの「生」の物語

およそ600年前。長きにわたるイングランドとの戦争(百年戦争)に疲弊したフランスに颯爽と登場し、目覚ましい活躍を遂げた後、わずか2年で火刑によりその命を散らしたジャンヌ・ダルク。神の声を聞く聖女、勝利をもたらす女神、信仰と信念を守り抜いた殉教者…その人物像は、国境や時代を超えた伝説となり、多くの人々を魅了し続けている。

彼女はなぜ、神の声を聞き、それを実現させることができたのか。また、なぜ国王や軍にかかわる人々は、一介の羊飼いの娘である彼女を認めたのか——。実在の人物でありながら数々の謎をまとったその存在は、あまたの絵画や小説、映像、そして舞台作品の題材として取り上げられてきた。

2010年に初演された本作は、ジャンヌ・ダルクという一人の少女が、時代に、政治に翻弄されながらも、自らの信じるものを掴みとっていくまでの「生」に焦点をあてた人間ドラマであり、歴史スペクタクルだ。

最高のクリエイター陣&総勢100人の出演者による壮大な歴史スペクタクル

演出を担う白井晃、脚本の中島かずき(劇団☆新感線座付作家)、音楽の三宅純は、本作で初タッグを組み、以後も楽聖ベートーヴェンの半生を音楽と共に描く『No.9-不滅の旋律-』(2015年初演)、死刑執行人サンソンの眼差しを通してフランス革命の実相に迫る『サンソンールイ16世の首を刎ねた男—』(2021年初演)と、足掛け10年以上にわたり、実在の人物を題材に大きな時代の流れをとらえる歴史スペクタクルを手がけてきた。

時代の転換点に生きる人間たちの姿を鮮やかに浮かび上がらせる中島の脚本、多様なジャンルを交配させながら独自の響き、グルーヴを生み出す三宅の音楽、そして緻密な分析と大胆な表現を両立する白井の演出が立ち上げる劇世界は、まさにスペクタクルの名にふさわしい大きさと深さを感じさせる。

本作『ジャンヌ・ダルク』は、彼らが手がける歴史劇シリーズの原点ともなった作品。100人を超す出演者が劇場狭しと躍動する戦闘シーンを間近にし、祈りにも似たブルガリアン・ヴォイスの響きに包まれ、観客はジャンヌの生きた時代、人々のエネルギー、神と向き合い対話する時間のえも言われぬ心持ちを、自らのものとして感じることだろう。

それはまた、コロナ禍で忘れられつつあった、同じ場所、同じ時を分かち合うスペクタクルの魅力と意義にあらためて出会う体験ともなるはず。

清原果耶、舞台初挑戦 ジャンヌ・ダルクに

清原果耶(提供写真)
2014年の再演から9年。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻など、大きな時代のうねりを経て、いっそう凛とした佇まいを見せるニューヒロインが望まれるなか、ジャンヌ役として白羽の矢が立ったのは、清原。

ドラマ『透明なゆりかご』(NHK)などでの好演を経て、朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK)に主演、東日本大震災を経験した故郷を想い、さまざまな葛藤を経験しながらも夢に向かうヒロインの成長を見事に体現し強い印象を残した若手実力派女優だ。その繊細な感受性、芯の強さを感じさせる存在感は、毅然として純粋無垢なラ・ピュセル(乙女)、ジャンヌ・ダルクにも大いに通じるところがありそうだ。

また、本作は彼女にとって初舞台出演ともなる。自身のMV『君に見せる景色』では歌のみならず、コンテンポラリーダンスも披露するなど、その身体表現力は実証済み。フレッシュな感性を持って、自らの道を選びとるヒロ
インと向き合い、あらたなジャンヌ像、あらたな顔を見せてくれるだろう。

小関裕太、シャルル7世役で新境地

小関裕太(提供写真)
一方、ジャンヌの後押しを受けて王となり、後には彼女の命運を握ることになるフランス王シャルル7世を演じるのは小関裕太。子役として活動を開始、連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)や『来世ではちゃんとします』(TX)シリーズなど話題作に出演。『癒やしのお隣さんには秘密がある』(NTV)ではW主演を務めるなど、目覚ましい躍進を見せる若手俳優。舞台経験も豊富で、ミュージカル『四月は君の嘘』(主演)のほか、『キングダム』でも主要な役柄を演じている。

自らの出生をめぐる事情もあり、自信のなさ、頼りなさが目立つ王太子・シャルルは、ジャンヌの登場によって、王としての自覚を促され、やがては“勝利王”とまで呼ばれる人物に成長していく。迷える若者が次第に大人になり、国を背負って立つ運命を引き受けていくプロセスは、小関の俳優としての奥行き、多面的な魅力を、これまで以上に引き出すことだろう。

オール新キャスト・新時代の「ジャンヌ・ダルク」開幕

(上段左から)清原果耶、小関裕太、りょう、神保悟志、岡田浩暉、榎木孝明(下段左から)福士誠治、荒木飛羽、深水元基、山崎紘菜、坪倉由幸、野坂弘、ワタナベケイスケ、粟野史浩(提供写真)
清原、小関に加え、今回は2人を支えるキャスト陣も全員初参加。りょう、岡田浩暉、福士誠治、深水元基、山崎紘菜、坪倉由幸、粟野史浩、野坂弘、ワタナベケイスケら、映像のみならず舞台をもよく知る実力派が集うほか、今後の飛躍が期待される若手、荒木飛羽が重要な役どころを演じ、さらに榎木孝明、神保悟志と、経験豊富なベテランも加わって、壮大な劇世界の骨組みを担う。

舞台『ジャンヌ・ダルク』は、11月28日(火)〜12月17日(日)に東京建物Brillia HALL、12月23日(土)〜12月26日(火)にオリックス劇場にて上演。(modelpress編集部)

清原果耶コメント

今回の舞台のお話をいただいて、嬉しい気持ちで胸がいっぱいになりました。舞台に挑戦してみたいという気持ちは、このお仕事を始めてからずっとありましたし、まさか『ジャンヌ・ダルク』に参加出来るだなんて思いも寄りませんでした。

ジャンヌのように沢山の人々を導いていく力を自分が持てるだろうか、そして最後まで懸命に生きてその勇姿を届けられるのかなと、稽古がまだ始まっていない今から緊張や不安を感じてはいるのですが、演出の白井晃さんをはじめとするスタッフキャストの皆さんの言葉や生き様を目に焼き付けながら、皆さんと一緒に作るこの舞台を楽しめれば良いなと思っています。

ジャンヌが信じる道を全うしようと生きていく中で、様々な恐怖や葛藤、そして孤独も抱えていたはずです。1人の少女ジャンヌにどこまで寄り添い一緒に戦うことが出来るのか、沢山の方々のお力をお借りして、新たな『ジャンヌ・ダルク』をお届け出来るよう励みます。

小関裕太コメント

7年ぶりに白井晃さんとご一緒できることがまず嬉しいです。白井さんは観客の目線を操る魔術師。映画でいうところのカメラワークが天才的で、ちょっとひねくれた視点で見ようとしても、つい「あそこを見たい」と思わされてしまいます。再演の際の映像を観て、出演者の多さ、その動きの面白さ、すごい迫力に、「こんな壮大なプロジェクトに声をかけていただいたんだ」と、あらためて光栄に感じました。

清原果耶さんとは今回が「はじめまして」ですが、いくつかドラマを拝見して、まとう雰囲気も声も、その人にしかないもので、素敵だなと感じていました。映像の中で輝いていた清原さんが舞台でどう変化し、どんな表情を見せてくださるのかも、とても楽しみです。

目の前にそのキャラクター、その人がいるという事実の重さ、緊張感や躍動感こそが舞台の魅力。僕も、映像の画面を通じて伝えるのとは違う、舞台ならではの味わいを持ったシャルル王を演じたいなと意気込んでいます。

演出・白井晃コメント

たった一人の少女が、民衆の心を動かし、王宮を動かし、軍隊の先頭に立って失地回復をする。その原動は何だったのか。そして、その少女を火刑にかける人々の心の変化とは。そんな思いで、13年前にこの作品に臨みました。そのためには、民衆、兵士、学僧などを演じる多くの出演者が必要となり、総勢100名を超えるスペクタクルになりました。

今、もう一度、この舞台に臨むことになりました。今回の再構築にあたり、清原果耶さんという最高のジャンヌ・ダルクと素晴らしい新キャストを得て、新たな物語が生れます。この10年間の間に世の中は大きく変わりました。人の心のありようも大きく変化しました。一人の少女の物語は、私たちに新たな生きる意味と希望を与えてくれる気がしています。大きな「生」のエネルギーを、キャスト、スタッフ、そして、観客の皆さんと作りたいと思います。

脚本・中島かずきコメント

『ジャンヌ・ダルク』を次に上演する時は、清原果耶さんにお願いしたい。それだけのパワーを感じる。近年の彼女の活躍を拝見して、勝手にそう思っていた。しかし、この芝居は大勢のエキストラを集めて上演する作品だ。今の状況ではなかなか再演は難しいだろう。自分の夢物語として胸のうちに収めておいた。

ところが、プロデューサーから「『ジャンヌ・ダルク』を再演します。主演は清原果耶さんです」という連絡をいただき驚いた。誰にも言ってないのに。以心伝心とはこのことか。夢がかなった。彼女を支える共演陣も芸達者な人達が集ってくれた。感謝しかない。

もちろん演出白井晃・音楽三宅純のお二人も、ますますダイナミックで精緻な舞台を作り上げてくれるだろう。世界中が不安定な今だからこそ、己の信仰心をよすがに、たった一人で世界と対峙する少女の物語を舞台に上げる意味がある。改めてそう思っている。

音楽・三宅純コメント

初演から13年、その間に世界が体験した事象を思うと感慨深いです。今まで私が関わらせていただいた熊谷プロデューサーの作品は、強固な意志を持ち、数奇な運命に対峙し、時代に翻弄されつつ、過剰な人生を駆け抜け、自らを燃焼し尽くした類稀な人物の物語でした。

神の声を聴き、民衆の心を掌握し、数万の兵を率いて国の危機を救い、ついには文字通りの燃焼=火刑台で処刑されるに至った、神秘なる少女ジャンヌの起こした奇跡はその最たるものです。加えて、この作品は初演以来、「今の時代を象徴するきらめきを持つヒロイン」をキャストに迎えて来ました。今回の抜擢がこの舞台にどのような進化をもたらすのか、期待に胸が高まっています。
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